NTTドコモビジネス、NTTドコモソリューションズ、NTTアーバンソリューションズ、NTTファシリティーズの4社は3月4日、IOWN APN(All-Photonics Network)を活用し、高度なICT機器をオフィス外に集約する新たなオフィスモデルの検証を行ったことを発表した。

今回の検証では、従来はネットワーク帯域や遅延、応答性などの制約条件によりオフィス内に設置せざるを得なかったGPUマシンなどの高度な機器をオフィス外へ集約する。これにより、オフィス内の消費電力や設置スペースなどの設備要件を緩和し、省電力化およびオフィススペースの有効活用を図る。

検証は外部企業10社の協力の下、映像品質、反応速度、業務への活用可能性、オフィス環境への影響、人材獲得への寄与といった観点から多角的な評価を実施。その結果、外部協力企業からも高い評価が得られたという。オフィスの立地や環境に対する柔軟な選択肢を提供し、従来の制約にとらわれない新たなオフィスモデルの実現を目指すとのことだ。

取り組みの背景

近年は高度な計算機資源を活用した業務効率化や生産性向上に向けた取り組みが、さまざまな分野で進められている。建設・設計分野におけるBIM(Building Information Modeling)活用をはじめ、ゲーム・映像分野での映像処理、製造業におけるAIを活用した素材開発など、計算能力の確保が企業競争力を左右する重要な要素となっている。

一方で、こうした高度なICT機器をオフィス内に設置・運用する際には、消費電力や発熱対策、機器重量、設置スペースの確保など、オフィスに求められる設備条件は厳しさを増している。加えて、オフィス回帰の動きが進む中、ワーカーのパフォーマンス最大化や円滑なコミュニケーションの促進、人材獲得のため、ワーカーへの高度なICT環境の提供やオフィス環境の整備がますます重要となっている。

そのため、高度なICT機器をデータセンターに集約し、オフィスから遠隔利用する構成は、エネルギー効率やスペース活用の観点から有効な選択肢と考えられる。しかし、従来のネットワーク環境では帯域や遅延制約により、大規模なデータを扱う業務や高速な応答性が必要な業務では、求められる要件を十分に満たせない課題が残されていた。

検証の概要

今回の検証では、NTTドコモソリューションズの都内データセンターとNTTアーバンソリューションズの秋葉原UDXにある「未来のオフィス 4×SCENE」、ならびにNTTファシリティーズの田町グランパークにある共創空間「FL@T」をIOWN APNで接続した。

データセンター側には高度なICT機器としてGPUマシンを設置し、建設・設計業務で利用するBIM環境などを構築。オフィス側には「Model-Bを用いて高精細映像を非圧縮で伝送するIOWN APN 100ギガビット / 秒回線」「画面転送を用いて高精細映像を圧縮して伝送するIOWN APN 10ギガビット / 回線」「比較用に用意した一般的なインターネット回線」の3つの構成を構築した。

  • 検証のシステム構成

    検証のシステム構成

  • デモ実施のイメージ

    デモ実施のイメージ

検証の成果

検証協力企業に対し、IOWN APNによる遠隔作業の操作性について「画質」「映像の滑らかさ」「データ転送速度」などの観点からアンケートを実施した結果、IOWN APN 100ギガビット / 秒およびIOWN APN 10ギガビット / 秒のいずれにおいても好評価の回答が90%以上となった。

操作性以外の観点からも影響や効果を確認した結果、検証協力企業からはサーバ室の削減で創出された空間を価値あるワークプレイスへ再設計することによるオフィス環境向上や、高度なICT環境を利用可能なオフィスによる将来的な人材獲得への寄与について、80%以上が支持する結果が得られた。

関連する効果として、約50平方メートルのサーバ室をオフィス外に集約することによって年間約50トン相当の二酸化炭素排出量の削減効果や、初期投資の抑制(オフィス内のサーバ室構築にかかる初期費用の削減)に寄与することが推計された。