パナソニック 空質空調社(以下、パナソニック)は3月4日、欧州市場において、生成AIデータセンター向け冷却液分配ユニット(CDU)2機種(400kW・800kW)、およびフリークーリングチラー2機種(800kW・1200kW)の受注を開始することを発表した。
急拡大する“液冷方式”へのニーズ、その理由は
AI需要の拡大が続く昨今、それに伴って重要性が高まるデータセンターの建設が世界各国で急速に進められている。データセンターの運用においては、ITラックの故障やシステムダウンを防ぐために、運転時に生じる大量の熱を冷却するためのシステムが不可欠。これまで多くのデータセンターでは、建物内の空調機に冷却水を供給する“チラー”を活用して冷気を供給する空気冷却方式(空冷方式)が広く用いられてきた。
しかし生成AIの利用が広がる近年では、より高度な演算処理を行う「GPUチップ」から発生する熱量が大きく増加しており、空冷方式の冷却装置では満足なGPUラックに対して満足な冷却効率を得られず、性能維持や安定運用に要する莫大な電気量が課題となっていた。そのため近年では、特に大規模施設であるハイパースケールデータセンターやコロケーションデータセンターを中心に、特に高温化する部分に対して高い冷却効率を発揮する液体冷却方式(液冷方式)へのニーズが高まっているという。
こうした“冷却機構”に対するニーズの高まりが続く中、パナソニックは2023年、欧州市場の顧客開拓を見据え、空冷方式の機構に不可欠なCCU(Close Control Air-Conditioning Unit)を提供するイタリア・Tecnairを買収し、データセンター向け冷却システム事業を展開してきた。そして今般同社は、チラーなどの冷却水を利用して熱交換し冷却液を分配するCDUを開発。これにより、従来の空冷方式に、冷却効率の高い液冷方式を組み合わせたソリューション提案が可能になるとする。
液浸・空冷両方式の強みを融合させた高効率冷却
従来のチラーを用いた空冷方式では、データセンターの空間全体を空気で冷やす必要があり、ITラックからの廃熱に対してクーリングタワーやチラーから得た冷却空気を床下から投入することで、温度維持を行っていた。しかし今回の新製品を活用したソリューションでは、空間全体は空冷方式での冷却を行う一方で、熱濃度の高いITラックに対してはCDUを用いた液冷方式を実装することが可能に。これにより、同じ冷却能力を得るために必要なシステムの規模や電力量が縮小するため、消費電力の削減に加えてデータセンター内の省スペース化も可能になるとする。
またパナソニックは、エッジデータセンターなどの中小規模施設を主なターゲットとする新製品として、データセンター向けのチラーも初めて発表。10℃までの低外気温を利用して冷却水を生成し、高い省エネ性を実現するフリークーリング機能を搭載するとともに、低GWP(地球温暖化係数)冷媒の「R1234ze(E)」を採用することで、環境負荷低減にも貢献できるとした。
なお同社担当者によると、今般発表された新製品の開発・製造・販売はイタリア国内で行う予定だといい、CDUについては更なる大容量化を目指して、1200kW以上の機種開発を進めている最中とのこと。この大容量製品については、2026年3月中の受注開始を予定しているとのことだ。パナソニックは今後も、これまで培ってきた技術力・ものづくり力・くらしのノウハウを活かし、社会課題の解決に取り組んでいくとしている。



