【2026年をどう占いますか?】 答える人 東京海上ホールディングス会長・小宮暁

防災・減災に関するソリューションの開発も

 ─ 戦争や貿易摩擦など混沌とした時代に、安心・安全を届ける保険業界の役割、存在意義はますます大きくなっています。東京海上ホールディングス会長の小宮暁さん、26年の世界及び日本経済をどう見ていますか。

 小宮 社長就任時から、我々は100年に一度のティッピングポイント(転換点)に立っていると言い続けてきました。先行き不透明な時代ですが、従来通りでは利益も上がらず、成長もしなくなるという強い危機感を持ち6年間経営してきました。

 保険は、何か事故や災害があった時に、その経済的ダメージを補填するというのが本来の機能です。しかし、お客様にとっては、保険金のお支払い以前に、事故・災害はない方がよく、もしあってもダメージが極力小さい方がいいというのが本質的な願いだと思います。

 我々のビジネスのパーパスは「お客様や地域社会の〝いざ〟をお守りすること」ですから、事故や災害の起きる事前・事後、いわゆる防災・減災といった面も含めて、総合的に安心・安全を捉えるべきだと考えています。

 そういう意味で、今は「保険の再定義」と言っており、従来の伝統的な保険だけではなく、社会課題を解決するための事前・事後のソリューションビジネスを展開していくことがこれからの時代、重要だと考えています。26年はこれをより本格化していく年にしたいと思いますし、現社長(小池昌洋氏)以下、今の経営陣がしてくれると思います。

 ─ 25年には総合建設コンサルタントのID&Eホールディングスを買収しましたが、これも「保険の再定義」ですか。

 小宮 ええ。防災・減災事業を推進すべく、21年に彼らと「防災コンソーシアム(CORE)」を発足しました。今はまだ世の中にない、事前の防災・減災、あるいは再発防止の概念と保険を融合した新しい商品・サービスを作っていこうと取り組んでいます。

 他にも、例えばヘルスケア、モビリティ、セキュリティの分野でも取り組んでいますし、中小企業を束ねてスケールメリットを出しながら、再生可能エネルギーを供給していく事業への取り組みも進めています。

 SDGs(持続可能な開発目標)に対し、グループとして一番貢献できることは何かを考えながら開発を進めています。事前・事後、川上・川下をセットで、安心・安全をバリューチェーンとして提供するビジネスで保険を再定義していく考えです。

 創業以来一貫して、アントレプレナーシップ(起業家精神)で挑戦をしていくというのが、東京海上グループのDNAだと考えています。これは買収した海外のグループ企業も同じです。