
「3領域経営」で独自性を発揮
─ 旭化成社長の工藤幸四郎さん、現状を踏まえた上で、26年をどう見据えていますか。
工藤 私が社長に就任したのが22年でしたが、昨年度までの3カ年は非常に厳しい環境、業績でしたし、業界全体も厳しい状況でした。
25年度に入って、川上のエチレンクラッカーの整理統合が日本全体で進んでおり、我々も議論の中にあります。26年以降はさらに川中、川下の部分がどういう形で整理統合されていくか。日本の化学業界全体として、強い者がしっかり残る形でポートフォリオの変革が進んでいくのではないかと思います。
─ 旭化成はヘルスケア・住宅・マテリアルの「3領域経営」を展開していますね。
工藤 各領域のビジネスは違いますので跛行性があると思いますが、ヘルスケアは会社全体でも成長ドライバーという位置づけです。医薬品、医療機器などがありますが、3年先くらいを見据えて成長投資をしていきます。
住宅は、国内は厳しい環境が続く中で確実に収益性を上げていき、成長は米国、豪州に求めていきます。マテリアルはポートフォリオ変革が進み、どこに投資するかがクリアになってきました。
3領域それぞれで、ピュアプレイヤーの皆さんと競争していかなければなりませんから、当社の独自性をどう発揮していくかが重要になります。
─ 3領域のシナジーは? 工藤 技術のベースには膜や発泡の技術など共通したものがあるというのが1つあります。もう1つはDX(デジタルトランスフォーメーション)、AI、人材、カルチャーといった「無形資産」の活用が重要なポイントです。3領域の中で共通の経営基盤を生かしながら成長させることが進んできていますが、今後の課題でもあります。
─ 北米でリチウムイオン電池向けセパレーターに投資していますが、EVの需要が鈍化する中、今後の展開は?
工藤 EVには逆風が吹いていますから、当初想定した需要の伸びと比較すると、相当下がってきています。ただ、投資決定したときも、相当保守的に計画を組んでおり、その見通しをやや下回っているという状況です。需要は非常に厳しい状況ですが、ビジネスはやはり供給と需要のバランスです。供給サイドは我々の競合がほとんど北米に出ておらず、需給バランスは我々の想定から大きくはズレていません。
また、EVだけでなく、データセンター向けやESS(電力貯蔵システム)が拡大する中、我々のお客様には、その分野で強い企業も多いのです。その2つの民生需要が堅調ですから、マーケティングを強化して、想定の範囲内に収益を収められたらと考えています。