サイボウズは2月25日、2月12日に発表した2025年12月期の連結決算についてオンラインで記者説明会を開いた。代表取締役社長の青野慶久氏が登場し、注力領域とするkintoneの大規模導入支援とAI活用について解説した。
営業利益は106%伸長、クラウド製品が高い成長を記録
2025年度12月期の決算を振り返ると、連結の売上高は前年同期比26.1%増の374億3000万円、営業利益は同106.4%増の101億100万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同99.2%増の70億8100万円、1株当たりの当期純利益は104.3%増の153.17円だ。
ただし、「これらの業績は、2024年11月に実施したクラウドサービスの価格改定が影響している。この成長が継続するとは限らない」と青野氏は補足した。
売上原価については、愛媛オレンジバイキングスの経営に参画したことから、その運営費が影響し同27.1%増の37憶3600万円と増加した。人材の採用を抑制したことから人件費は同4.6%の増加にとどまった。
製品別に売上を見ると、ノーコード業務アプリ作成ツール「kintone」は同33.9%増の216億8900億円、サイボウズOfficeは同18.7%増の68億3200万円、Garoonは同12.2%増の62億1300億円、Mailwiseは同25.9%増の11億1200億円だった。
全体の売上高に占めるクラウド製品の割合は92.1%で、344億8500億円。各製品の価格を改定したことから、売上高の伸びが従来と比較してやや伸長気味だ。なお、Garoonのみ他製品と比べて価格変動の幅が小さいという。
価格の改定はあったものの、各製品の解約率(Gross Revenue Churn Rate)は軒並み1%未満で、大きな解約は見られなかった。対してARPA(Average Revenue Per Account:1アカウント当たりの平均売上高)は向上しており、今後も継続的なARPA向上を目指すとのことだ。
同社が示した2026年12月期の通期業績見通しによると、連結での売上高は前年同期比12.7%増の421億6800万円、営業利益は同4.1%増の105億1400万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同5.1%増の74億4500億円だ。
青野氏は「サイボウズにとっては今が攻めどきだと思うので、人の採用やデータセンターの強化、広告宣伝の展開などを加速する。そのため、利益の見通しは抑え目」だと説明した。
中堅~大企業の大規模なkintone活用に注力
同社の主力製品であるkintoneだが、2025年末時点で導入企業(国内)は3万9000社を超えた。東証プライム上場企業においては、約46%が同製品を導入しているとのことだ。
kintone導入企業の売上の比率を見ると、SMB(従業員数~99人)が39.1%、MID(100~999人)が33.7%、EP(1000人~)が27.2%だ。kintone導入企業は各層のバランスが良く、特定の規模のセグメントに依存しない点が特長的。
「kintoneは中小企業に使用していただいているイメージがあるかもしれないが、実はバランス良く使っていただいている。今後はMID(中堅)やEP(大企業)に注力するので、このセグメントの売上が伸びてくることに期待している」(青野氏)
大企業向けの具体的な施策として、同社は従来版から利用可能なアプリ数やスペース数を拡大した「ワイドコース」を新設。大規模な導入時に特有の課題や要件に対応し、柔軟な運用と高いパフォーマンスで事業成長に貢献する。ワイドコースでは、kintone利用状況を確認できるダッシュボードや、特定の用途に応じて負荷に対応するようなチューニングが可能なオプション機能などを提供する。
さらに、大規模な利用時に特定の管理者だけがアプリを作成するのではなく、現場社員による市民開発を促すため、「市民開発ガイドライン」を無償公開。ガバナンスを策定するDX企画フェーズから、kintone利用を拡大するフェーズまで一貫してサポートする。
大企業向けの利用促進と並行して、同社は自治体向けのkintone活用も促進する。現在までに約460の自治体で同サービスが導入されているが、前年から約80の自治体が増加するなど、急速に導入が進んでいることがうかがえる。
単にkintoneを導入するだけでなく、包括的な連携協定の下で幅広いデジタル化やDXをサイボウズが支援している自治体もあるとのことだ。
「以前はkintoneを導入している自治体が少なかった。コロナ禍をきっかけに、クラウド上でスピーディにシステムを構築し改善までできるプラットフォームのニーズが増え、加速度的に導入が進んでいるのを感じる」(青野氏)
エコシステムを含めたAI活用支援を拡大
サイボウズは製品へのAI活用にも積極的だ。kintoneをはじめ、サイボウズOfficeとGaroonにおいて、AI機能をベータ版として実装している。特に社内データが蓄積されるkintoneはAIとの親和性が高く、組織のデータ活用や業務改善に有効だという。
kintoneではさらに、パートナー企業のエコシステムを含めたAI関連サービスを拡充する。kintone専用の拡張機能(プラグイン)に生成AI機能を搭載するものや、kintoneと連携可能な外部サービスに生成AI機能が搭載されているものなどが増えているとのことだ。








