ソフトバンクは、同社の基地局とAIを統合したAI-RANプロダクト「AITRAS」(アイトラス)のオーケストレーター機能を拡張。ノキアのAI基盤と連携することで、社外のAIワークロードが実行可能になると2月25日に発表した。外部向けのAIサービスとして提供することで、設備投資効率の向上と、新たな収益機会の拡大を両立させるねらいがある。
同技術のデモを、スペイン・バルセロナで現地時間3月2〜5日まで開催されるイベント「MWC Barcelona 2026」のノキアブースで実施予定だ。ソフトバンクは、今回追加したAITRASオーケストレーターの機能を起点に、AI-RANの実用化に向けた取り組みを推進。多様な外部AIのユースケースへの対応や、大規模環境での検証を進めていく。
ソフトバンクは既報の通り、AI(人工知能)とRAN(無線アクセスネットワーク)を同一のNVIDIAアクセラレーテッドコンピューティングプラットフォーム上で動作可能にする統合ソリューションとして、AITRASを開発中。ソフトバンクの商用ネットワークへ導入し、2026年以降には国内外の通信事業者などへ展開・拡大することをめざしている。米NVIDIAの本社ビル内では先行してAITRASを展開したほか、中核機能をオープンソースソフトウエア(OSS)として公開している。
AITRASオーケストレーターの役割は、AIの処理とRANの制御に利用される計算資源の需要をリアルタイムに把握し、動的かつ柔軟に配分すること。これまでソフトバンクは、社内で利用する内部のAIワークロードの処理と、RANの制御を同一の仮想化基盤上で動作させ、計算資源の割り当てを動的に最適化する取り組みを進めてきた。一方で、RANの制御や内部のAIワークロードに限定した利用では、時間帯やトラフィックの状況などによる需要の偏りが生じ、計算資源を最大限に利用できないという課題がある。
AITRASを高付加価値のインフラとして活用するには、内部だけでなく外部のワークロードの需要を含めて対応し、計算資源を柔軟に配分できる仕組みが求められていた。特に、AI処理の需要の拡大に伴い、通信事業者が保有する分散した計算資源を外部向けのAIサービスとして提供できれば、設備投資効率の向上と新たな収益機会の拡大の両立が期待できるとのこと。
今回のAITRASオーケストレーターの機能拡張で、ノキアのAI基盤「Nokia AI-RAN External Compute Engine」との連携し、外部のAIワークロードを含めた計算資源の配分の最適化が可能になった。同基盤は、複数の事業者が提供する計算資源を仲介・管理するノキア ベル研究所のもの。両社の連携で、ソフトバンクが持つAI-RAN基盤を、内外を問わず「AI処理を実行できるサーバー」として活用できる構成を実現した。
これにより、外部顧客は自社で計算基盤を保有することなく、AI-RAN基盤上の計算資源をオンデマンドで利用できるようになる。通信事業者にとっては、通信設備を活用したAI処理のための計算資源の提供という新たなビジネスモデルの実現につながるとしている。
AI-RAN基盤は、外部からの需要に応じて計算資源を柔軟に割り当て、顧客への価値を提供できる基盤へと進化。AIによる需要の拡大が加速する中、従来の内部AIやRANの用途にとどまらない活用が進むことで、新たな収益機会の拡大につなげられるとのこと。
