富士通は2月24日、金融機関のデジタル化を支援するために2025年6月に立ち上げたビジネス戦略「Uvance for Finance」について、銀行の他に保険・証券・クレジット・リース領域を含む金融業界全般を支援するため、新たにオファリングを拡充することを発表し、記者説明会を開催した。
金融業界全体を支援する7カテゴリーのオファリングを拡充
富士通が提供する金融業界向けサービスは、コアソリューション、AI / データ活用プラットフォーム、カスタマーエクスペリエンスの向上・スマートソサエティの実現、の3層で構成される。
信頼性が求められる勘定系・店舗向けのコアソリューションを進化させ、そこから得られるデータを活用することで、カスタマーエクスペリエンスの向上とスマートソサエティの実現を目指すという。
金融および保険事業の本部長を担当する西田浩朗氏は「AI時代のデータ活用に対応するため、オンクラウド、クロスインダストリー、マイクロサービスアーキテクチャといったコンセプトでソリューションを整備している」と説明した。
同社は上記の3層構造に対し、7カテゴリーのオファリングを体系化した。2025年度の現時点では、5つのカテゴリーで14のオファリングをラインアップしている。今後も順次オファリングは拡充される予定だ。2030年度に金融機関向けUvance事業で2000憶円の売り上げを目指すという。
コアソリューション:信頼性のある基幹システムを実現
コアソリューションでは、主に基幹システムの俊敏化と効率化を実現するReliable Core Systemを展開する。ここでは、レガシーシステムのモダナイゼーションを推進。システムの柔軟性や拡張性を高め、新サービス開発の迅速化と運用コスト削減、安定稼働を支援するとのことだ。
コアソリューションのコンセプトは、パブリッククラウド上での稼働、マイクロサービスアーキテクチャ、クロスインダストリーだ。個別に使用可能なサービスモジュールを複数用意し、利用企業は使いたいモジュールだけをAPI連携で使える。
その一例として、2025年11月に発表した次世代プラットフォーム「Fujitsu Cloud for Insurance Japan Edition」は、保険業界の企業が必要な機能をモジュール単位で利用可能だ。Fit to Standardなクラウドサービスを展開する。
「山の1合目から上るのではなく、われわれのサービスを使うことで3合目や5合目から山に登れるようになるのが、サービスコンセプト」(西田氏)
まずは損保向けのモジュールから拡充する予定だが、代理店の管理モジュールなど一部モジュールは生保でも利用可能とのことだ。
リース向けのコアソリューション「LEASING-1 Neo」はこれまで、中小企業向けの導入が多くを占めていたが、今後は中堅や大手企業向けにも展開を拡大する。2026年度には新リース会計基準への対応など、機能面やアーキテクチャ面においても強化する。
AI / データ活用プラットフォーム:業界全体のデジタル化を支援
AI / データ活用プラットフォームでは、金融機関内外のデータを統合し意思決定を支援するData Driven Finance、複雑な国内外の規制対応とリスク管理を高度化するRegTech & Compliance、持続可能な成長を支援するSustainable Financeの3つのカテゴリでオファリングを展開する。
特にData Driven Financeでは、米Fair Isaac Corporation(以下、FICO)とのパートナーシップに基づき、顧客とのコミュニケーションを最適化する「FICO Customer Communication Services」を2025年7月、最適化分析プラットフォーム「FICO Xpress Optimization」を2026年2月にそれぞれ提供開始している。FICOのサービス群を統合的に提供する「FICO Platform」については2026年度中に提供開始予定だ。
米FICOは大規模な消費者向け金融サービス企業においての意思決定プラットフォームとなることを目指しており、新規顧客獲得、信用リスク管理、不正検知、オファー管理など、ライフサイクル全体をカバーするソリューションを提供する。
カスタマーエクスペリエンス向上・スマートソサエティの実現
カスタマーエクスペリエンス向上とスマートソサエティの実現に向けては、有人店舗の強みとデジタルの利便性を融合して一人一人のエンゲージメントを強化するPersonalized Experience、バックオフィス業務のプロセスを自動化するFinance Automation、非金融企業のサービスに金融サービスをシームレスに一体化するEmbedded Financeの3つのカテゴリでオファリングを提供する。
このうち、Embedded Financeで提供する、SaaSのデータを活用して企業の資金ニーズをAIが検知する「Fujitsu Embedded Finance Platform(仮称)」では、EDIのデータを活用して中堅・中小規模の顧客にFinanceを提案する。将来的には、ERPやCRM、HRTechなど複数のサービスと連携し、データ活用の範囲を拡大する。
同じくEmbedded Financeでは、保険会社と医療機関をつなぐ「オンライン診断書連携サービス」もオファリングとして提供する。従来は被保険者が病院から発行される診断書を保険会社へ送付して受け取っていた給付金の手続きを、オンラインで完結できるようになる。
患者は早期に給付金を受け取れるようになり、病院や保険会社は事務作業の効率化が期待できる。
2023年度にクラウド版をリリースしたPersonalized Experienceの相続人確認業務課題を解決するソリューション「FinSnaviCloud」は、これまで24社に導入されている。戸籍謄本をAI-OCRで解析し相続関係を説明する図を作成する機能などを追加しており、今後も相続事務のデジタル化を支援するとのことだ。
富士通の執行役員常務で金融ビジネスを統括する八木勝氏は、2030年度に金融機関向けUvance事業で2000憶円の売り上げを達成するための戦略として、「Uvanceが目指す世界観を踏まえて、金融機関のビジネス拡大に向けて貢献する。2035年のマーケットシェアは、ネットバンク・勘定系システムで50%超(2025年度31%)、営業店システムで50%超(同34%)、保健機関系システムで30%超(同10%)、リース基幹系システムで40%超(同20%)をそれぞれ目指す」と述べていた。









