イトーキは2月20日、「Office3.0」の新ソリューション「ITOKI OFFICE AI AGENTS」を開発し、年内に順次提供開始を予定していると発表した。同日には都内で説明会が開かれた。

イトーキが描くOffice 3.0とAIが変える働き方の未来

冒頭、登壇したイトーキ 代表取締役社長の湊宏司氏は「2024年から推進するOffice 3.0として、データドリブンでオフィスの生産性を向上していく取り組みにおいて、AIを徹底的に活用している。また、AIで働き方が大きく変化しているため、社内の業務オペレーションや経営にAIを徹底的に活用していくことにも取り組んでいる。これらは当社がビジネスを展開していくうえで重要」と力を込める。

  • イトーキ 代表取締役社長の湊宏司氏

    イトーキ 代表取締役社長の湊宏司氏

また、湊氏はf(t)=p(1+g)tという、複利成長(指数成長)の式を示しつつ「AIは時間を買うことだと考えている。たとえば、100億円の利益、成長率が10%と仮定すると、1年後には110億円になるため、AIはtの部分に効いてくる。要するに時間を買うことであり、指数関数的に成長する可能性がある。社長に就任して以来、通常であれば的を射るときは構えて、狙い、打つではあるが、当社では“構えて、打ち、狙う”ということを浸透させてきた。こうした会社文化の変化とAIを社内で活用していくことが、いま完全にフィットしている状況のため、倍速で動いていく」と話す。

Office 3.0が目指すデータドリブンなオフィス運用とは

新ソリューションを説明した、イトーキ 常務執行役員 ソリューション事業開発本部長の八木佳子氏は「Office 3.0は変化が速く、不確実性の時代にオフィスは静的なもので変化についていけないという課題感からスタートしている。オフィスを作ったら、終わりではなく変化に合わせて運用を変えていくことで時代、ビジネスに合わせてアップデートすることをデータを用いて実行していくことがOffice 3.0の目的」と説明する。

  • イトーキ 常務執行役員 ソリューション事業開発本部長の八木佳子氏

    イトーキ 常務執行役員 ソリューション事業開発本部長の八木佳子氏

2024年に同社では、組織と個人のコンディションを可視化・分析する「Condition Lens」、位置情報の「Workes Trail」、AIで会議室を自動で割り当てる会議室予約システム「Reserve Any」、データ分析の「Data Trekking」といったソリューションを提供し、2年間累計で160社が導入している。

これらのソリューションの提供で得たユーザーの声として、オフィスと人的資本の2つの関係性を科学的に理解・活用することで、企業の競争力の向上や成長につなげたいということだった。ただ、科学的に解き明かすためにはオフィスを多次元かつ解像度を高く捉える必要があった。

従来、オフィスを捉える場合、どの場所に対して、どのような人が、どの程度満足しているかを把握できればよかったという。しかし、解像度を高く捉えたうえで、これらを統合して理解するには、たとえば場所についてはどのような仕様の場所、環境、状態なのか、人に関してはどのような状態で成果を上げているのか、満足度ではどこにいるとき、あるいはどのような活動をしているときに高いのかなどを把握しなければならないという。

オフィス運用をハイサイクル化するためにAIが必要な理由

八木氏は「解像度を高く捉えるには多くのデータ取得をして、さまざまな軸を組み合わせて分析しなければならないことから、難しい側面がある。当社のデータ活用以前と比較するとデータ量は1.7万倍、分析の複雑さは2.7億倍となり、人手でやるには限界がある」と述べている。

また、オフィスの変化に対して「デザイン設計」「調達・工事」「効果測定」「課題抽出」のPDCAを高速で回してアジャストしていく必要があるが、効果測定と課題抽出については顧客が主体にならなければスピード感が出ないとのことだ。

同氏は「Office 3.0をローンチした際に、“アジャイルに変化してデータで捉える”をテーマに仕組みとプロセスを提供してきたが、これに加えて“ハイサイクルとAI”をキーワードに、お客さまが変わるためのパワーとスピードを提供していくために、新ソリューションを開発した」と強調。

  • “ハイサイクルとAI”をキーワードに加える

    “ハイサイクルとAI”をキーワードに加える

ITOKI OFFICE AI AGENTSで実現する次世代オフィス

ITOKI OFFICE AI AGENTSは「Facility Portfolio AI(ファシリティポートフォリオAI)」「Workplace Insight AI(ワークプレイスインサイトAI)」「Space Matching AI(スペースマッチングAI)」の3つのAIソリューションで構成され、顧客自らが高度なオフィス投資判断と働き方のハイサイクル化を実行できる仕組みを構築することを支援。

提供開始はFacility Portfolio AIとWorkplace Insight AIが2026年7月~9月中、Space Matching AIは同10月~12月中を予定している。

Facility Portfolio AI

Facility Portfolio AIは、最適な面積・席数・配置・コスト構造を算出し、拠点再編をシミュレーションするAIエージェントでWebアプリで提供。Wi-Fiデータや会議システム、スケジュール情報などを統合し、たとえば100拠点規模に及ぶ複数拠点の利用実態を立体的に分析する。

  • Facility Portfolio AIの概要

    Facility Portfolio AIの概要

拠点の集約・分散や再編の選択肢を具体的な数値とともに提示することで、ファシリティ戦略の検討に要していた時間を大幅に短縮し、経営判断の迅速化を支援する。

  • Facility Portfolio AIのWebアプリ画面のイメージ

    Facility Portfolio AIのWebアプリ画面のイメージ

Workplace Insight AI

Workplace Insight AIは、図面、写真、アンケート、経営方針資料などの非構造化データを含む多様な情報を一括で解析し、オフィスの課題や改善ポイントを構造的に抽出し、Webアプリで提供。

  • Workplace Insight AIの概要

    Workplace Insight AIの概要

さらに、類似事例との比較や、改善による効果予測、ROI(投資利益率)試算までを自動で行い、経営層や総務部門が実効性の高い判断材料を提供する。

  • Workplace Insight AIのWebアプリ画面のイメージ

    Workplace Insight AIのWebアプリ画面のイメージ

Space Matching AI

Space Matching AIは、在席情報や行動傾向、利用履歴をもとに、実際に空いているスペースをリアルタイムで判定して利用者に即時案内する。人の有無をセンシングし、不在パターンに応じて予約を自動で開放するデバイス「Table Box」を用意している。

  • Space Matching AIの概要

    Space Matching AIの概要

  • Table Boxの外観

    Table Boxの外観

利用されていない予約は自動的に解放され、需要に応じて再配分される仕組みにより、会議室や席の不足によるストレスを軽減し、空間の稼働率向上を実現する。物理空間とデジタルデータを連動させた点が特徴。

  • Space Matching AIのモバイルアプリのイメージ

    Space Matching AIのモバイルアプリのイメージ

一連のソリューション群は課題に応じて個別導入も可能とし、経営層は投資対効果を数値で即時判断でき、総務部門は複雑な分析負荷を削減できるという。また、開発段階から実証を重視し、これまで30件を超えるPoC(概念実証)を通じて構築されており、自社で検証を行い、得られた知見を顧客サービスに反映している。

八木氏は「これまでのサービスに3つのAIのプロダクトが加わりコンサルティング領域のソリューションとして、これまでは人手に頼り、時間がかかっていた業務をサポートするとともに、お客さまの働き方のアップデートに寄与したいと考えている」と意気込み示していた。

  • イトーキにおけるITソリューションのポートフォリオ

    イトーキにおけるITソリューションのポートフォリオ