NECは2月17日、ガロア、早稲田大学(早大) 基幹理工学部 情報理工学科の佐古研究室と連携し、学生が学外活動や保有スキルなど自身に関する情報を安全かつ適切に提示することを可能にする仕組みの実現に向け、分散型ID(DID)および検証可能なデジタル証明書(VC)の技術を用いた実証実験を2026年3月に実施することを発表した。
近年、多様化する学生の活動領域は学内に留まらず、企業でのインターンシップや地域活動・ボランティア、さらに海外での取り組みまで大きく広がり続けている。それに伴って、企業や地域団体が学生と接点を持つために確認したい情報も、単なる在籍情報に加えて、具体的な活動実績やスキル、経験内容など高度化・複雑化し続けている。
しかし現状では、これらの活動実績や経験内容を信頼性をもって証明する仕組みが十分に整っておらず、学生一人ひとりの個性や能力を正確に把握することは困難な状況とのこと。そのため学生に提供される協賛サービスや機会が画一的になりやすく、個々の経験やスキルに基づいた継続的な関係構築やロイヤリティ向上につながりにくいという課題が残されていた。
その方策のひとつとして“学生証のデジタル化”があるが、それだけでは「学校への在籍」しか確認できず、企業や団体が本当に知りたい活動内容やスキルの把握には不十分だ。こうした状況では、学生側が自らの価値を正当にアピールするために必要以上の個人情報を提出せざるを得ない場合があったといい、企業と学生の双方にとって、信頼性の確保とプライバシー保護を両立する新たな仕組みの必要性が高まっているとする。
こうした課題の解決に向け、NECとガロアは、学生の活動実績やスキルが正当に評価され、人材と機会が適切に結びつく社会の実現を目指し、それぞれが専門性を活かして解決に取り組んでいるとのこと。NECは、DID/VCをはじめとする“デジタルアイデンティティ”領域において技術開発から社会実装までを一貫して進めた知見を有しているといい、個人に紐づく情報を、信頼性とプライバシー保護を両立した形で証明・提示するための基盤技術を活かし、安全かつ持続可能な情報流通の実現に取り組んでいるという。一方のガロアは、「ガクセイ協賛プラットフォーム」を通じ、学生であることを確認したうえで学生と企業・団体をつなぐ事業を展開。同プラットフォームでは、学生証明に関する情報に加えて、学外活動やスキルといった活動実績データ、および企業団体側が確認したい情報に関する知見が、実運用の中で蓄積されているとした。
そして今般両社はこうした活動の一環として、DID/VC技術の有効性や技術的妥当性の検証を目的とした共同実証実験の開始を決定した。今回は早大 基幹理工学部 情報理工学科 佐古研究室も参画し、暗号技術およびセキュリティ分野における学術的知見を基にした技術検証を担う。そして、学生が実際に取り組んだ活動実績や保有スキルを信頼性が担保された形で証明し、提示先に応じて必要な情報のみを適切に開示できる仕組みを整備することで、その有効性を検証するという。
具体的には、ガロアのガクセイ協賛プラットフォームに蓄積されている情報を基に、VCを作成。さらにAIエージェントを活用して複数の証明書を横断的に解析することで、提示先となる企業・団体のニーズに応じた必要最小限の情報を安全に提示できるかを、疑似データおよび疑似環境にて検証するとした。
3者は発表に際し、今般の実証実験の目的を、学生との接点を希望する企業・地域団体が必要な情報を過不足なく、かつ信頼性高く確認できる新たな信頼基盤の有効性を検証するものだとした上で、学生が自身の経験やスキルを必要な範囲で信頼性高く提示できる環境を整備することで、人材と機会が適切に結びつく社会の実現を目指すとしている。
