NTTタウンページは、「iタウンDBサーチ」の販売を昨年11月から開始した。このサービスは、全国約800万件(2025年9月現在)の企業名称・電話番号・業種・所在地などの基本情報を保持する企業データベース「iタウンページデータベース(iタウンDB)」に、企業の系列・親子関係を体系的に整理した「企業グループ・部署情報」を加え、さらに、企業が「今、どんなテーマに関心を持っているか」「どんな分野に注目しているか」の特性を示す「マーケティングタグ」でも検索できる機能が備わっている。そこで、同社の担当者にこのサービスの特徴や狙いについて聞いた。
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取材対応いただいたNTTタウンページ デジタルマーケティング本部のみなさん。右からサービス開発部 データベース部門長 兼 ビジネス営業部 営業部門 第1営業担当部長 江田勝憲氏、データベース部門 サービス企画担当 担当課長 池田昌隆氏、サービス企画担当 チーフ 三上郁夫氏、営業部門 第1営業担当 横山日向子氏
同社はタウンページ(電話帳)の掲載情報を企業データとして提供していた「タウンページデータベース」の後継サービスとして、「iタウンページデータベース(iタウンDB)」を提供。同サービスは、「位置情報」「電話番号」に加え、独自の収集情報や外部のアライアンス先のデータとマッチングするなどして情報の量と質を強化。マーケティングに活用可能な付加価値を加え、「iタウンDB」として進化させた。
また、データベースの提供形態も顧客要望ごとのオーダーメイドでの提供形式に加え、利用者がオンデマンドでいつでも好きな時に欲しい企業データを検索・ダウンロードして使える、SaaS型での提供形態を実現する「iタウンDBサーチ」の提供を開始した。SaaS型ではユーザーがすぐに検索してダウンロードでき、初期費用不要のサブスクリプションで提供するため、同社は顧客ターゲットの幅が広がっていくと考えているという。
なお、「iタウンDBサーチ」のサブスク型提供プランは、一定量の企業データダウンロードを含む月額料金で利用でき、利用できるデータの中身に応じて(1)基礎データのみ、(2)基礎データに企業属性とマーケティングタグが付属したもの、さらに、(3)企業グループや部署名が入っているものの3パターンがある。一定量の企業データダウンロードを超えた分は従量課金として、データ利用料が追加される。
「iタウンDBサーチ」を提供した背景
「iタウンDBサーチ」を提供した理由について、江田勝憲氏は、次のように説明した。
「当社はこれまで、タウンページに収録されている電話番号や名称、住所、業種といった基礎データをそのままデータベース化して販売していました。これらのデータは800万件と膨大で、かつ、きちんとメンテナンスしているため鮮度が高く正確で安心して使える点が強みです。しかし、最近は米国を中心に、プレーンなデータに加えて、付加価値の高いデータが求められる傾向にあります。そこで、われわれも高付加価値な企業データをSaaS型で使っていただけるサービスを作り上げました」
また、こうしたサービスを提供する背景には、クライアントニーズの変化も影響しているという。
これまでは「大量にDMを送る」「大量に電話をかけて見込み客を見つけていく」といったマーケティング手法が用いられていた。しかし、付加価値の高いデータを利用することで、自社商材を使ってもらえる有望顧客をピンポイントで探し出し、効率よくアプローチする方向に市場ニーズが変わって来ている。
さらに、同社はこれまで地図や位置情報も合わせた形で市場開拓しており、データベースの売上の7割が地理空間市場で、同社のデータ鮮度・正確性の高さからカーナビでの電話番号による検索、警察、消防の指令台システムなどで利用されてきた。そのため、売上拡大に向け、販促やプロモーション、商圏分析などのマーケティング市場の開拓が社内で求められていたという。
「投資効率の良いマーケティング活動を実現することを目標に、当社のデータに加えて、お客様の持っているデータに対しても価値を付加して返すことでデータを高価値化できるよう、サービスを開発してきました」(江田氏)
サービスを開発するにあたっては、UIをシンプルにして、直感的に操作できることにこだわったという。
「画面上の企業情報が非常に見やすくなっていて、連絡先や特徴が端的に書かれていますので、これを見ながら営業活動も可能といった点が特徴になっています」(池田氏)
データの高付加価値化のポイント
データの高付加価値化の一番のポイントは「マーケティングタグ」だという。マーケティングタグは、企業のWebサイトから公開情報をもとに情報を収集し、さまざまな分析を行って、企業活動のカテゴリー分けを行っている。現在、カテゴリーは270種類ほどある。
「マーケティングタグは、お客様が現在どんな活動をしているのか、どんな分野の事業を展開しているのかなどを示しています。これまでは業種とエリアしか持っていませんでしたが、売上や資本金、従業員数といった情報も付与して、マーケティングタグを順番に検索していくことで、ターゲットを絞りやすくなっています。企業特性で絞ったターゲティングができますので、見込み顧客へのアプローチ精度が上がり成約率もアップしていくと考えています」(池田氏)
さらに、最近はサードパーティークッキーが使いづらくなっているため、それに代わるインテントデータとして、顧客の興味関心を同社が独自に収集し、それを企業情報に付与することによって、例えば「この企業は海外進出に対して課題感を持っている」といったことが把握できるという。
そのほか、顧客が持っているハウスリストのリッチ化も可能で、自社ハウスリストをアップロードすることで、iタウンDBの情報を付与していくことができる。
「お客様がハウスリストを作るときには、表記ゆれや重複も発生します。われわれのデータベースを辞書にしていただいて、自社のハウスリストをきれいにしていただくことも可能です。ハウスリストでお客様が持っていない同業種のお客様を追加することもできますので、お客様のデータを常に最新かつ使いやすいものに保つことができることが利点として挙げられます」(池田氏)
さらに、企業の系列・親子関係を体系的に整理した「企業グループ・部署情報」も提供される。
「意思決定に関わる部署はどこかを把握でき、人事系を攻めたいのであれば、部署を検索して効率的にアプローチができ、活用の幅が広がると考えています」(江田氏)
AIを活用した分析サービスにも展開
同社では、今後「iタウンDBサーチ」のさらなる機能強化を予定している。その一つが生成AIの活用だ。
「生成AIを搭載して、お客様が困りごとについて検索して必要なデータを抽出するといったようなやり方もありますが、逆にAIからキーワードを入れれば『こういうデータがあります』とレコメンドする機能を、将来的には実装しようと準備を進めています」(江田氏)
また、CRMやSFA、CDPとAPI連携することも予定している。
「SFAでは営業の方が担当の企業の特徴を入力しますが、API連携することによって、営業の方が入力しなくても、属性や特徴が勝手に入力されるようになります。また、ある企業と似た企業情報が欲しいときに、似たような規模の似たような事業を行っている新しい顧客リストを入手することもできます」(池田氏)
NTTタウンページは今後も集客や売上拡大など、ビジネスの成長に向けた課題解決を支援するため、iタウンDBのさらなる情報量の拡充と品質向上に取り組む構えだ。



