• ハワイの新交通システム「Skyline」

    ハワイの新交通システム「Skyline」

毎年、正月が明けると同時に、筆者はCES取材のためにアメリカへと旅立つわけですが、CES(ラスベガス)への直行便がない関西発の格安チケットは、必ずどこかの都市を経由する必要があります。ここ数年は、ハワイアン航空(現在はアラスカ航空が買収して経営統合を完了)でホノルルを経由するルートを利用しています。

このルートを選ぶ一番の理由は価格の安さですが、乗り継ぎがあるので飛行機に乗る時間が6時間ほど(往路の場合)と短いことや、機内で爆速安定のスターリンクが無料で使えるという便利さもあります。

問題は、6時間から最長1日もかかる“乗り継ぎ時間の使い方”ですが、以前は観光地のワイキキへ行くには公共交通の「The Bus」を乗り継ぐか、相乗りシャトルまたはタクシーといった選択肢しかなく、時間もコストも微妙なので、結局は空港内で時間を潰すことがほとんどでした。

  • 関西からラスベガスまでは、意外にもハワイ経由がお安い

    関西からラスベガスまでは、意外にもハワイ経由がお安い

ところが状況が大きく変わり、2025年10月にオアフ島を東西に結ぶ公共交通の「Skyline」(スカイライン)が延伸。ホノルル空港(ダニエル・K・イノウエ国際空港)の正面に駅が新設され、それにあわせてThe Busがワイキキまで走る直通ルートが開通されたとのこと。そこで、今回はあえて乗り継ぎ時間を長めにして、新しくなった公共交通を体験してみることにしました。

涼しい車内でローカルなハワイをゆっくり観光できる「Skyline」

Skylineは、オアフ島の西側とホノルル市内を結ぶ高架鉄道として建設が始まり、2023年6月30日に東カポレイ(クアラカイ)駅からアロハスタジアム(ハラワ)駅を結ぶ最初のルートが開通。2025年10月に第2期ルートがスタジアムからホノルル国際空港(レレパウア)駅と、その先にあるカリヒ・トランジットセンター(カハウイキ)駅まで延伸されました。最終的には2031年までに、ワイキキに近いアラモアナセンターまで延伸されることが計画されています。

  • Skylineの路線図

    Skylineの路線図

4両編成の車両は、完全自動運転の無人高架鉄道システムで運行されており、車両の製造と運転システム、さらに運行の維持管理を日立製作所(日立レール)が手がけています。

  • Skylineの車両は「この木なんの木」でおなじみの日立製!

    Skylineの車両は「この木なんの木」でおなじみの日立製!

車内はとにかく広々としていて、自転車を置く場所もあり、サーフボードや大きな荷物も余裕で持ち込めます。高架は30〜40フィート(約9〜12メートル)とかなり高いので、大きな窓からの眺めがとてもよく、クーラーが効いているのでお天気がよくても快適です。無人なので前後車両の正面の大きな窓から“鉄ちゃんビュー”が堪能できる席も用意されています。さらに、席によっては足下に電源があり、無料Wi-Fiも完備されているので、通勤や通学にも便利そうです。

  • 大きな窓がある先頭車両の最前列席は大人にも人気

    大きな窓がある先頭車両の最前列席は大人にも人気

空港から東へ向かう電車に乗ると、まもなくパールハーバーが見え、ぐるりと回り込むように湾を眺めることができます。しばらくするとアロハスタジアムが見えますが、そのあとは住宅地などを整備中ということで、ほとんど景観は変わりません。しかし、北に広がる山や時々見える家並みをのんびり見ながら、移動の疲れを癒やすのにはちょうどいい時間を過ごせます。終点までは片道30〜40分で、そのまま同じ車両で空港まで戻れますが、自動販売機やお店などはまったくないので、ドリンクだけはしっかり持ち込むとよいでしょう。

  • 窓からパールハーバーも見えます

    窓からパールハーバーも見えます

料金は大人(18歳以上)片道3ドルで、交通系ICカード「HOLOカード」を使えば、2時間半以内であれば何度でも乗り降りできます。HOLOカードは2ドルの発行手数料がかかりますが、The Busと併用でき、1日あたりの支払い上限は7.5ドルなので、3回以上乗ると元が取れる計算になります。

  • Skylineの駅で購入できるHOLOカードは、オアフ島内を公共交通で移動するのにとても便利

    Skylineの駅で購入できるHOLOカードは、オアフ島内を公共交通で移動するのにとても便利

直通バスは2両編成、スーツケース持ち込みもOK

Skylineで往復の旅を楽しんだあとは、空港に戻って直通バスでワイキキビーチへ向かうことにしました。

新設された「W LINE」(Wライン)は2両編成で運行され、交通状況にもよりますが、約40分でワイキキビーチ方面へ移動できます。料金はSkylineと同じで、HOLOカードを使えば1日の上限は7.5ドル。同日であれば空港と往復もできます。ルールも旅行者にやさしくなっていて、以前は禁止されていた機内持ち込みサイズの手荷物は1個まで、さらに中サイズのスーツケースも1個まで持ち込み可能になりました。

Wラインの停留所は、駅を降りて空港の反対側に歩いたすぐのところにあり、15分間隔(夜は30分間隔)で運行されています。とはいえ、ハワイなので急に運休になることもしばしばですし、時刻表はあるけれどその通りに走っていることは少ないので、そこは余裕を持って利用することが大切です。

とにかく乗り換えなしでダウンタウンやアラモアナショッピングセンター、ワイキキビーチまで行けるのはとても便利で、バスを乗り継いでちょっと足を伸ばす時間もできそうです。

  • Wラインは思ったよりも頻繁に運行されている

    Wラインは思ったよりも頻繁に運行されている

ワイキキビーチ周辺の移動は、公共バスをはじめカード会社や航空会社が運行するシャトルがあるので便利ですが、時期によってはかなり混んでいます。特に、お正月の時期は道路も混んでいるので、効率良く移動したい場合はシェアサイクル「biki」を利用してみるのもいいかもしれません。ステーションは主要スポットに130以上あり、1000台以上が配備されていて、1回30分までなら5ドル(+税)で利用できます。

  • ワイキキで10年近く利用されているシェアサイクルサービス「biki」

    ワイキキで10年近く利用されているシェアサイクルサービス「biki」

ラスベガスでお試し中のロボタクシー「Zoox」に乗った

ハワイのあとはいよいよラスベガスへと移動しますが、今年(2026年)はある目的のために、いつもより早めに現地入りしました。それは、話題のロボタクシー「Zoox」(ズークス)に乗ることです。

Zooxは2014年に設立され、現在はAmazon傘下となった、自動運転の自動車開発スタートアップ。トースターとも呼ばれる四角いボックス型のロボタクシーを開発し、2025年9月から一般道での運行を開始しています。4人乗りの車内はハンドルもペダルもなく、レベル5に近いレベル4の自動運転を実現。4WS(4 Wheel Steering、4輪操舵)で前後の区別がなく、狭い場所でもスイスイ移動でき、最高時速76マイル(時速約120キロ)で走行できます。

  • トースターのようなカタチをしたロボタクシー「Zoox」は完全自動運転を実現

    トースターのようなカタチをしたロボタクシー「Zoox」は完全自動運転を実現

現在は試験運用中ということで料金無料ですが、専用のモバイルアプリを利用します。日本のApp StoreやGoogle Play ストアではこのアプリはダウンロードできないので、その点は注意が必要です。また、現時点ではサービスエリアが限定されていて、乗り降りできる場所も限られていますし、乗車スポットの近くまで行かなければ予約できません。予約時間はアプリでチェックできますが、試乗したときは新年、かつCES開催間近ということもあり、だいたい45分以上待つ必要がありました。

とはいえ、アプリが手に入れば利用は簡単で、予約が確定するとナンバープレートが提示され、乗り場に行くと到着時間をカウントダウンで教えてくれます。ルートや時間は事前に提示され、ラスベガスのメインストリートにあるホテルからショッピングセンターへ移動したときには、やや遠回りでハイウェイの側道を回り込むように移動しましたが、混雑状況などによって変更するようでした。

  • 予約車両はナンバープレートで確認する

    予約車両はナンバープレートで確認する

予約車両を見つけたら、アプリでドアを開けて乗り込み、シートベルトを装着すると目的地へと走り出します。速度や車線変更、交差点を曲がるときもスムーズで乗り心地が良く、周りの自動車と並走するほど速度が出ていたときも、まるでレールの上を走っているような安心感がありました。感覚的には、以前サンフランシスコで乗ったドライバーレスタクシーのWaymoよりも安定していて、自動運転技術もアップグレードされているのがわかりました。

  • 車内は快適で運転もスムーズだった

    車内は快適で運転もスムーズだった

ロボタクシーは年々サービスエリアが広がっていて、CESでは新しいロボタクシーやロボットカーも発表されています。Zooxはラスベガス以外にもサンフランシスコでテスト運行を行っていて、さらにサービスエリアを拡大する計画です。しかしどちらかといえば、ラスベガスのような“歩いても行けるけれどちょっと遠いところ”へ手軽に移動する、というニーズに向いている気がします。

ラスベガスでは他にも、テスラや専用車両を使った新交通システム「VEGAS LOOP」がルートを広げ、ロサンゼルスを結ぶ高速鉄道も計画されていて、来年はどのようなサービスが体験できるか楽しみです。