液状封止材など電子デバイス材料大手のナミックスが、リチウム硫黄二次電池(LiSB)の高容量化と長寿命化を可能にする添加剤を、国内で初めて披露した。“ポストリチウムイオン二次電池(LiB)”として自動車業界などが注目しているリチウム硫黄二次電池だが、実用化には課題山積。なかでも、急激な性能劣化が最大の問題だが、添加剤でその抑制を実証できたとして、実用化に向けて「チューニングを進めていく」ことにしている。
新開発の炭素系添加剤で、LiSBの容量増強・長寿命化へ
ナミックスはリチウム硫黄二次電池の開発に長年取り組んでおり、2018年には多層セラミックコンデンサー(MLCC)関連技術をベースに、リチウムイオン二次電池の約10倍もの理論容量をもつ“全固体リチウム硫黄二次電池”を「エレクトロニクス実装学会」(ICEP:International Conference onElectronics Packaging)に出展している。これは3.2×2.5mmの小型品だが、酸化物系全固体二次電池の可能性を示したものだ。
今回、同社は全固体よりも事業化しやすい、電解液を使ったリチウム硫黄二次電池の性能向上を図る添加剤を、先端電子部品や実装装置の展示会「第40回 ネプコン ジャパン」(会期:1月21〜23日)で訴求した。主に米拠点で開発に取り組んできたもので、国内では初のデモとなる。
リチウム硫黄二次電池は、負極に金属リチウム、正極に硫黄を用いており、硫黄の理論容量は1,670mAh/gほどと、現在主流のリチウムイオン二次電池(3元系正極=コバルト酸リチウム)よりも約10倍大きい。しかもレアメタルと違って入手しやすく安価なことから、自動車業界は以前から関心を示していた。
ただ電圧は2ボルト以下で変化するうえ、充放電回数が増えると電気容量が急速に低減する。そこでナミックスは、正極添加剤としてパウダー状のナノサイズのカーボン系微粒子を開発した。この添加剤をバインダーに加えて活材に使うと、電気容量が増大し、かつ充放電回数が増えても容量低下が少なくなる。
溶け出した硫黄成分(ポリスルフィド)が電極間を移動することによって引き起こされる性能劣化だが、カーボン系添加剤が電解液中の硫黄成分をセパレーターの手前でトラップすることで影響を抑えられる。
新開発の添加剤によって、初期の電気容量は約700mAh/gに達し、充放電を400回繰り返した後でも80%ほどの水準を維持。添加剤がなければ100回ほどの充放電で容量が激減してしまうという。硫黄の理論容量は1,600Ah/g以上もあるだけに、特性向上の余地は大きいとしている。
