南鳥島(東京都)沖の排他的経済水域(EEZ)でレアアース(希土類)の試掘に成功したと、内閣府と海洋研究開発機構(JAMSTEC)が発表した。地球深部探査船「ちきゅう」からパイプを接続しながら降ろし、水深約6000メートルの深海底からレアアースを含む泥を引き揚げた。レアアースは自動車や電子機器などの性能向上に欠かせず、「産業のビタミン」とされる鉱物資源。世界生産の大半を中国が握る中、国産化に向けた一歩として注目される。

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    南鳥島沖のちきゅう船上で、引き揚げたレアアース泥を取り出す作業(内閣府SIP、JAMSTEC提供)

試掘は内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の一環。ちきゅうは先月12日に事実上の母港である清水港(静岡県)を出港。17日、都心から南東に約1900キロ離れた南鳥島沖の現場海域に到着した。開発した機器や無人潜水機などを一通り使った採鉱システムの試験が主目的だが、実際にレアアース泥の引き揚げも試みた。30日に採掘を開始し、今月1日、レアアース泥を船上に引き揚げたことを確認した。15日に帰港する。

今後は引き揚げた泥からレアアースの精製を試みるほか、調査手法や技術課題の検証などを進める。来年2月にも南鳥島沖で、一日当たり350トンを目標にレアアース泥の本格採掘を実証する。その後は資源量の高精度3次元地図化や、産業化に向けた検討などを進める。

小野田紀美科学技術担当相は3日の閣議後会見で、「2018年の開始以来、着実に実施してきたプロジェクトの節目として喜ぶと共に、引き続き精力的に研究開発と技術実証を進めていく。一連のプロセスを実証し、総合的に南鳥島沖レアアース生産の経済性評価を行う。その結果を踏まえ、実用化の可能性を検討していく。今後、国としてどうするのかしっかり検討したい」と述べた。

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    南鳥島沖でちきゅうからパイプを延ばし、レアアースの眠る海底に到達した採鉱機(内閣府SIP、JAMSTEC提供)

松本洋平文部科学相も同日、「引き揚げた試料のレアアース含有量など、詳細は今後確認すると聞いているが、まずは成功をうれしく思っている」と話した。続けて「水圧や海流の影響が大きい中、パイプを傷つけずに上げ続けるには大変な技術が必要だ。また、町工場の皆さんが知恵と技術を結集した(小型無人深海探査機)『江戸っ子1号』も一緒にやって、こういうことができた。世界最先端の、わが国の大きな一歩になるかもしれない。大きなチャレンジに大変、貢献をしていただいている」と付け加えた。

レアアースは希少、または抽出の難しい金属「レアメタル」の一部で、ネオジムやジスプロシウムなどのランタノイド15元素にスカンジウム、イットリウムを加えた計17元素。元素ごとに磁気や超電導、光学、触媒などの独特な性質を発揮するため、電気自動車のモーターや風力発電機、ハードディスク、スマートフォン、発光ダイオードなど、幅広い用途で使われている。レアアース鉱床の多い中国が世界生産の7割、埋蔵の5割を占め、輸出規制の強化を外交カードに利用しているとされる。

東京大学大学院工学系研究科の加藤泰浩教授らが2011年、海底にレアアース泥が分布することを発見。13年に南鳥島沖のEEZに超高濃度で高品質のレアアース泥の存在を突き止めたのを機に、資源開発に向けた産学官の取り組みが続いてきた。経済安全保障推進法に基づく経済産業省の「重要鉱物に係る安定供給確保を図るための取組方針」はレアアースについて、30年時点で国内の永久磁石の需要確保を目指すとし、目標を定めている。

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    地球深部探査船「ちきゅう」=2024年9月、静岡市清水区の清水港

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