
バブル経済真っ只中の昭和後半から平成にかけての「結婚式」と言えば、主役である新郎新婦がゴンドラで入場し、天井まで届きそうなウェディングケーキが飾られ、キラキラと輝くミラーボールなど華やかな演出で100人以上の招待客を招くといった形式が流行していました。芸能人の結婚式が典型例です。
一方、令和になったいま、その装いは大きく変わりました。結婚式場を使わずにレストランなどを会場とした会費制で、50人ほどの友人を招いてのカジュアルな結婚パーティー。新郎新婦は主役ではなく、招待客全員で楽しむアットホームな雰囲気を求める形式が主流です。
私はリクルートで結婚情報誌「ゼクシィ」を担当してきただけに、ブライダル業界がバブル期からコロナ禍を経て大変革を迎えたことを実感しています。ただ、私はどちらが良い・悪いを言いたいわけではありません。価値観がこれだけ変わったわけですから、ブライダル業界の企業も自ら変化していかなければならないということです。
コロナ禍を契機に、日本の結婚カップルのイベント実施形態は様変わりしています。2019年の婚姻組数は約59.9万組。そのうち披露宴・結婚パーティーを実施したのは73%です。残りはフォトウェディング・挙式のみ(7.7%)と何も実施しない(19.3%)です。
これが2024年になると婚姻組数は約48.5万組で、披露宴・結婚パーティーを実施したのは41.5%、フォトウェディング・挙式のみが(37.1%)、何も実施しない(21.4%)となっています。もはや「前撮り」は死語になりつつあります。
コロナ禍で芸能人がスタジオなどでのフォトウェディングで済ませた動画などをSNSで発信したことにより、手間暇がかからず、コストも抑えられ、周囲にも面倒をかけずに済むことが分かってきたのです。
披露宴を行わないフォトウェディングでは、自分たちの着たいドレスを着て、その写真や動画をSNSで友人たちに伝えて結婚したことを報告できればいいという思いが背景にあり、ご祝儀などの金銭的な負担を周囲に求めなくても済みます。これが今の若い世代の発想なのです。
まさに文化的志向の変化が起こっているわけです。結婚情報口コミサイト「みんなのウェディング」を運営する当社も、この価値観の変化を汲み取ったサイトづくりを心掛けているところです。同サイトには国内6000以上の結婚式・披露宴会場の情報を60万件以上のリアルな口コミや費用明細データといった生の情報で提供しています。
実は、こういった変化は結婚パーティーの舞台となるレストランなどにとっては、新たな需要獲得の機会にもつながります。もちろん、従前の披露宴を実施できるような式場はコロナ前までは約2000件ありましたが、今は1000件ほどとなり、結婚パーティーなどの兼業のスタイルをとっています。
さらに、地方では結婚式場がなくなっています。そこで当社のサイトを通じて、もともと地方にあるレストランなどを提案することができます。都会にはない自然や風景を背景に、記念になる写真も撮影できる場所が地方にはたくさんあります。あるいは、地方の写真館をお薦めすることも可能でしょう。
私の感覚では5年ごとにブライダルに関するニーズは変わっていくように思います。この変化を続ける顧客のニーズに対して素直に対応することが、今後のブライダル業界の企業に求められる要諦ではないかと思います。