2024年9月に制定された無線LANの通信規格「Wi-Fi 7」。iPhone 16シリーズは、Apple製品で初めてWi-Fi 7に対応しており、自宅のルータをWi-Fi 7対応のものに入れ替えた人もいるだろう。
Wi-Fi 7の特徴は、最大約46Gbpsの通信速度(Wi-Fi 6の約4.8倍)、320MHzに帯域幅拡大、4096QAM技術によるデータ密度向上、複数帯域を同時に利用するMLO(Multi-Link Operation:マルチリンクオペレーション)。
しかし、Cybernewsは「Don’t fall for WiFi 7 marketing: most routers lack the advertised features」において、Wi-Fi Allianceがその認証プログラム(Wi-Fi CERTIFIED 7)を開始しているが、Wi-Fi 7をうたうルータの多くは認証すら受けておらず、目玉機能であるMLOが完全に実装されていないとして、注意を喚起している。
MLOがもたらすメリット
MLOは、2.4GHz、5GHz、6GHzと複数帯域を同時または柔軟に切り替えて利用する技術。通信速度の向上、遅延の減少、混雑時の安定性向上といったメリットをもたらす。MLOは、Wi-Fi CERTIFIED 7を受けた機器では必須の機能となっている。
通信速度がMLOによってWi-Fi 6の約4.8倍アップするとなると、ぜひともWi-Fi 7を使ってみたくなる。メーカーも当然、MLOを訴求する。
マルチリンク操作の問題点
そうした中、製品レビューサイトであるRTINGS.comが、Wi-Fi 7対応をうたうルータの検証を行った(検証結果はこちらで確認いただきたい)。RTINGS.comはメーカーからの製品提供を受け付けないないなど、公平性に定評がある。
RTINGS.comは、「802.11be仕様がMLOを広範に定義しているため、技術的に要件を満たしているものの、実世界でのメリットは限定的である実装が認められていることが問題」と指摘している。
802.11be仕様では、マルチリンク操作において、STRモード(同時送受信)とNSTRモード(非同時送受信)という2つのモードが定義されている。
STRモードは、今日のWi-Fi 7のマーケティングで多く取り上げられているモデル。各社の製品ページでは、複数のバンドが集約と即時フォールバックのために同時に使用されていることが示されていることが多く、ルータがリンクを同時に操作することでスループットを向上させ、遅延を低減できることを示唆しているという。しかし、RTINGS.comは「実際には、この機能は現在のコンシューマー向けハードウェアにはほとんど存在しない」と指摘。
今日のルータが実装しているのはNSTRモードだという。同モードは、デバイスがバンドを切り替えられるが、同時には使用できず、制限されたフォールバックモードとなる。
RTINGS.comは、メーカーのマーケティング資料では、これら2つのモードは同等あるいは補完的であるように見せかけられているが、パフォーマンスとユーザーエクスペリエンスのレベルは大きく異なると異議を唱えている。
Wi-Fi 7の仕様では、機器に対し何らかの形でMLOをサポートすることが義務付けられているが、MLOの効果を高める高度な機能をすべて実装する必要はないという。
Wi-Fi 7ルータの真のMLO機能を検証
そこで、RTINGS.comがWi-Fi 7ルータ25台をテストした結果、22台は最小限のMLOしか実装しておらず、Wi-Fi 7ブランドが示す期待値を大きく下回ったという。
初期テストにおいて、複数のルータでMLOを有効または無効にしても、6GHzのみを使用した場合と比較して、スループット、レイテンシー、接続安定性に目に見える変化は見られなかったことから、RTINGS.comは「市場に出回テイルルータは、マーケティングで示唆されているMLO機能を本当に実装しているのか疑問が浮かんだ」とコメントしている。
今回、ASUS、Eero、GL.iNet、NETGEAR、TP-Link、UniFiのルータを検証。テストしたルータはいずれも、複数の無線を並列に動作させるための中核メカニズムであるEMLMR、SRS、STR-MLMRをサポートしていなかったことがわかっている。1,000 ドル近くする最も高価なルータでもMLOを完全に実装していなかったという。
RTINGS.comは「現在のハードウェアは、独立した無線間で必要なサブマイクロ秒単位のタイミング調整をまだ実現できていない。これは、メーカーがうたうMLOを実現していないことを意味する」と説明している。
「WiFi 7」「Wi-Fi 7」「Wi-Fi CERTIFIED 7」の違いに注意
さらに、RTINGS.comは調査の結果、無線ネットワークの用語や認証が、重要な技術的違いを覆い隠してしまう可能性があることを浮き彫りにしたと述べている。「Wi Fi-7」に関連した用語として、以下があるが、混同されがちと指摘されている。
- WiFi 7:Wi-Fi Allianceの認定プログラムの認定を受けていない、ベンダーが定義したマーケティングラベル
- Wi-Fi 7:IEEE 802.11be世代のWi-Fiテクノロジーを指す非公式な用語。Wi-Fi自体はWi-Fi Allianceの商標だが、この用語のみの使用は認証を意味するものではない。
- Wi-Fi CERTIFIED 7:Wi-Fi Alliance の公式認定プロセスに合格し、認定製品データベースに掲載されている製品にのみ使用される。
RTINGS.comが検証を行った25台のルータのうち、Wi-Fi CERTIFIED 7を取得しているのは3台のみだったという。
RTINGS.comは、メーカーが今後、完全なMLO機能を実装し、マーケティング用語と動作の整合性をとり、Wi-Fi CERTIFIED 7を高度な機能の証ではなく最低限の基準として扱うことが必要になると説明している。それが実現するまで、消費者はMLOの実質的なメリットを期待してWi-Fi 7のハードウェアを購入すべきではないとアドバイスしている。
