オプテージは1月29日、大阪府に曽根崎データセンター(OC1)をオープンした。OC1は7.5フロアに1200ラックのサーバを設置可能であり、他の大阪のデータセンターとの接続や来年度オープン予定の美浜町コンテナ型データセンターとの直接接続等、首都圏に次ぐネットワークインフラを関西圏に作るという目論見を示した。

  • 2026年1月29日に開所したオプテージ曽根崎データセンター(通称OC1)。データセンターとしては当たり前の「住所非開示」だが都市部で目立つビルだ 撮影:小林哲雄

    2026年1月29日に開所したオプテージ曽根崎データセンター(通称OC1)。データセンターとしては当たり前の「住所非開示」だが都市部で目立つビルだ 撮影:小林哲雄

  • オープニングセレモニーで挨拶を行うオプテージ 代表取締役 社長の名部正彦氏 撮影:小林哲雄

    オープニングセレモニーで挨拶を行うオプテージ 代表取締役 社長の名部正彦氏 撮影:小林哲雄

  • 来賓としてあいさつを行う総務省 近畿総合通信局 局長の野水学氏 撮影:小林哲雄

    来賓としてあいさつを行う総務省 近畿総合通信局 局長の野水学氏 撮影:小林哲雄

  • 他のゲストと共にオプテージカラーのロープを引いてくす玉を割り、OC1がオープンした 撮影:小林哲雄

    他のゲストと共にオプテージカラーのロープを引いてくす玉を割り、OC1がオープンした 撮影:小林哲雄

関西圏を首都圏と同様のネット拠点にし、インフラの強靭化へ

近年、クラウドやAIの利用拡大からデータセンターへの投資が進んでおり、メガクラウドベンダーは日本に数兆円規模の投資を行うと表明している。メガクラウドは大量のサーバを設置するため面積も電力も多く必要とし、大都市中心に据えるのは困難だ。

  • 以下、プレス向けのOC1説明会。説明を行ったのはオプテージ 執行役員 ソリューション事業推進本部 副本部長の津田和佳氏 撮影:小林哲雄

    以下、プレス向けのOC1説明会。説明を行ったのはオプテージ 執行役員 ソリューション事業推進本部 副本部長の津田和佳氏 撮影:小林哲雄

  • オプテージの事業説明。コンシューマー向けのeo(ネット、電話、テレビ)、モバイル事業と企業向けのソリューション部門に分かれており、今回のOC1はソリューション部門に該当する

    オプテージの事業説明。コンシューマー向けのeo(ネット、電話、テレビ)、モバイル事業と企業向けのソリューション部門に分かれており、今回のOC1はソリューション部門に該当する

日本のデジタルインフラは首都圏と関西に多く存在するが、東西でピークトラフィックや面積のいずれも倍以上の差がある。しかし、首都直下地震や富士山噴火の可能性を考えると、首都圏集中は日本全体で見た場合望ましくない。

オプテージとしては、日本のインフラ強靭化のために、関西のインフラ整備を進める計画だ。データセンターのさらなる整備や通信トラフィックの集積を進めるだけでなく、現在関西では1カ所にとどまる海底ケーブルの陸揚げ局も他社と協業することで増やす。今回のOC1はその第一歩だ。

  • 日本のネットワークトラフィックは首都圏がメインだが、その首都圏は直下型地震や富士山噴火というリスクがある

    日本のネットワークトラフィックは首都圏がメインだが、その首都圏は直下型地震や富士山噴火というリスクがある

  • オプテージは、日本のインフラの強靭において首都圏と同等のデータセンター整備が重要だとして、関西と関東の比率を1:1にすることを目指す。また、海底ケーブルの引き上げ拠点も首都圏同様に複数整備することを掲げている

    オプテージは、日本のインフラの強靭において首都圏と同等のデータセンター整備が重要だとして、関西と関東の比率を1:1にすることを目指す。また、海底ケーブルの引き上げ拠点も首都圏同様に複数整備することを掲げている

  • オプテージは2035年までに3000億円を投資し、3カ所以上のコネクティビティデータセンターの展開と海底ケーブルへの投資を計画している。投資額は現在のオプテージの年間売上額以上だ

    オプテージは2035年までに3000億円を投資し、3カ所以上のコネクティビティデータセンターの展開と海底ケーブルへの投資を計画している。投資額は現在のオプテージの年間売上額以上だ

OC1は首脳可能なラックが最大と、敷地面積もそこまで広くない。しかし、大阪駅から徒歩10分程度と物理的には大都市の中心に据えられている。関西圏では三田・彩都・けいはんな・堺南港等に大規模なデータセンターがあり、それらを束ねる、クラウド事業者間の接続施設という位置づけをしている。

コネクティビティデータセンターとしての接続性

オプテージは関西圏に地球9周分の光ファイバー網を保有しており、先ほど挙げたデータセンターが集積する主なエリアや、海外からの海底ケーブルの陸揚げ局からもすでに接続されている。

  • 複数のメガクラウドや事業者間を結ぶための拠点として今回コネクティビティデータセンターを曽根崎にオープンした

    複数のメガクラウドや事業者間を結ぶための拠点として今回コネクティビティデータセンターを曽根崎にオープンした

  • コネクティビティデータセンターは通信事業者やメガクラウド事業者の相互接続のために設置するため都市中心部に作る必要があるが、規模はあまり大きくなくてもよい

    コネクティビティデータセンターは通信事業者やメガクラウド事業者の相互接続のために設置するため都市中心部に作る必要があるが、規模はあまり大きくなくてもよい

  • CDNサーバと通信事業者との接続はインターネット回線を使用すると品質維持にコストがかかるため、直接接続やIXを介して接続する。コネクティビティデータセンターによってこれが一層容易になる

    CDNサーバと通信事業者との接続はインターネット回線を使用すると品質維持にコストがかかるため、直接接続やIXを介して接続する。コネクティビティデータセンターによってこれが一層容易になる

  • OC1は関西に基盤を持つオプテージの自社ファイバー網がメガクラウドサーバのある周辺地域や海外海底ケーブルの関西の陸揚げである志摩まで接続されているのが強みだ

    OC1は関西に基盤を持つオプテージの自社ファイバー網がメガクラウドサーバのある周辺地域や海外海底ケーブルの関西の陸揚げである志摩まで接続されているのが強みだ

メガクラウドやIXの主要な拠点が集結する堂島・心斎橋エリアに近接しており、これらの拠点とも自社ファイバーでの直接接続が行われている。

このようにOC1は計算資源のためのデータセンターではなく、通信事業者間やAI・メガクラウドの相互接続を担う「コネクティビティデータセンター」として設置された。

  • OC1は大阪の中心に位置し堂島や心斎橋からも近く、メンテナンス時に駆けつけやすいというメリットがある。今回の取材でも伊丹空港から一時間以内で到着している

    OC1は大阪の中心に位置し堂島や心斎橋からも近く、メンテナンス時に駆けつけやすいというメリットがある。今回の取材でも伊丹空港から一時間以内で到着している

実質再生可能エネルギー100%を実現

OC1で使用する電力は関西電力とKDS太陽光合同会社のPPAに基づくものと関西電力の再エネECOプランを使用した実質再生可能エネルギー100%だ。特別高圧22kvを3回線スポットネットワークで引き込んでおり、メンテナンス時でもサービスの影響は最小限となり、停電に備えて72時間分の燃料タンクが備え付けられている。

ネットワークに関しては地下の三方向に引き込み口があり、建屋内も2系統の配管を用意して冗長性を保っている。メンテナンスに関しては入館予約を入れて顧客が自ら作業を行うほか、オプテージのインフラエンジニアが、手順書不要で対応するライブオペレーションという現地の画像を見ながら簡単な作業を依頼することができる。

  • OC1の電力は実質再エネ100%を実現。コストアップにはなるが、引き合いは高いという

    OC1の電力は実質再エネ100%を実現。コストアップにはなるが、引き合いは高いという

  • 電力は3回線のスポットネットワーク受電なので、メンテナンス時でも影響は最小限。ビル内に非常用発電機があり72時間は無給油で利用でき、災害時の優先契約も締結済だ

    電力は3回線のスポットネットワーク受電なので、メンテナンス時でも影響は最小限。ビル内に非常用発電機があり72時間は無給油で利用でき、災害時の優先契約も締結済だ

  • 駆けつけやすい場所ではあるが、簡単な作業ならば詳細な手順書なしで、オプテージのインフラエンジニアが操作するライブオペレーションが利用できる

    駆けつけやすい場所ではあるが、簡単な作業ならば詳細な手順書なしで、オプテージのインフラエンジニアが操作するライブオペレーションが利用できる

  • 今年度中に福井県美浜町にコンテナ型DCを開設予定。こちらは美浜原子力発電所のCO2フリー電力を使用したGPUサーバを設置し、学習を担当。OC1は推論を低レイテンシーで行え、DC間はオプテージのファイバーで接続する計画だ

    今年度中に福井県美浜町にコンテナ型DCを開設予定。こちらは美浜原子力発電所のCO2フリー電力を使用したGPUサーバを設置し、学習を担当。OC1は推論を低レイテンシーで行え、DC間はオプテージのファイバーで接続する計画だ

14階建ての免震構造ビルで、最大4400芯の光ファイバーを引き込む

以下、OC1の見学ツアーの模様を紹介しよう。オプテージでラックを用意するハウジングタイプに関しては空冷を採用している。設置されていたのは47Uのラックだが、ユーザーは44U使用でき、残りの3つはラック間(クロスコネクト)や NTT堂島やOS1等の近隣データセンターへの直結(帯域提供のメトロコネクトと芯線賃貸借のファイバーコネクトを用意)を可能にするパッチとなっている。クロスコネクトは申し込みから一週間程度で利用可能だ。

  • 基礎免震構造のビルで、南海トラフ巨大地震が来てもサーバは250ガル程度に抑えられる。また、水害を想定してサーバルームは4階以上に設置している

    基礎免震構造のビルで、南海トラフ巨大地震が来てもサーバは250ガル程度に抑えられる。また、水害を想定してサーバルームは4階以上に設置している

  • OC1内のラック間はすでに光ファイバーを設置済なので、申し込みから一週間程度で利用可能。近隣のDCへの接続もオプテージのファイバーを利用したメトロコネクト、ファイバーコネクトが利用できる

    OC1内のラック間はすでに光ファイバーを設置済なので、申し込みから一週間程度で利用可能。近隣のDCへの接続もオプテージのファイバーを利用したメトロコネクト、ファイバーコネクトが利用できる

ハウジングはフルラック(44U)、ハーフラック(22U)、クォーターラック(11U)の3種類で行え、ワンフロア当たり160ラックほど設置する。ラック当たりの電力は最大10kVAまで利用可能で耐荷重は2000kg/平方メートルだ。見学したサーバルームは空冷サーバを想定しているが、引き合いが多ければDLCも検討するという。

  • 以下、実際の施設。こちらはラックをオプテージが配置するハウジング型のスペース。上はネットワークケーブルが敷設されている 撮影:小林哲雄

    以下、実際の施設。こちらはラックをオプテージが配置するハウジング型のスペース。上はネットワークケーブルが敷設されている 撮影:小林哲雄

  • ハウジングラックは47Uだが、顧客が利用できるのはフルラック44U、ハーフラックの22U、クオーターラックの11Uの三パターンが用意されている 撮影:小林哲雄

    ハウジングラックは47Uだが、顧客が利用できるのはフルラック44U、ハーフラックの22U、クオーターラックの11Uの三パターンが用意されている 撮影:小林哲雄

  • 見学したフロアには地下から引き込んだ光ファイバー(最大4400芯)を受け取るMeet Me Roomが東西2カ所に置かれ冗長性を確保する 撮影:小林哲雄

    見学したフロアには地下から引き込んだ光ファイバー(最大4400芯)を受け取るMeet Me Roomが東西2カ所に置かれ冗長性を確保する 撮影:小林哲雄

  • 都市型DCということで、非常用発電機もビル内に設置。72時間の稼働が行える燃料タンクも設置している 撮影:小林哲雄

    都市型DCということで、非常用発電機もビル内に設置。72時間の稼働が行える燃料タンクも設置している 撮影:小林哲雄

  • 屋上にはサーバを冷やすためのチラーが多数配置。現在オープンしたエリアは空冷サーバ用だが、他のフロアでは直接液冷サーバの利用も検討している 撮影:小林哲雄

    屋上にはサーバを冷やすためのチラーが多数配置。現在オープンしたエリアは空冷サーバ用だが、他のフロアでは直接液冷サーバの利用も検討している 撮影:小林哲雄

建物は全体で免震構造になっており、巨大地震が発生しても内部は250ガル程度に抑えられる。このためにOC1の地下に免振ゴムに加え、オイルダンパーと直動転がり支承も設置している。

  • 地下の基礎。上部の太いのが振動を抑えるダンパーで、左下部が免振ゴム 撮影:小林哲雄

    地下の基礎。上部の太いのが振動を抑えるダンパーで、左下部が免振ゴム 撮影:小林哲雄

設備投資資金はグループ内から調達の予定

今回の設備投資は「現在計画で2035年までに3000億円」と資本金の9倍、全社売上額1年分よりも高く、ソリューション事業部門売上の3年分以上と、かなりの金額だ。この資金をどうやって調達するのか、疑問に思った。

そこで、会見終了後に津田氏に伺ったところ「グループ企業から調達する」と市場からの調達ではない旨の返答があった。

オプテージは関西電力の100%子会社であり、親会社の関西電力は格付け会社から高い評価を得ている。筆者の想像にとどまるが、オプテージが起債するよりも関西電力から調達したほうがよいというのが、関西電力を含めた判断ではないだろうか。

金額に関しては現時点での計画額であり、今後変動する可能性もあるという。一方、「OC1の建設は大阪万博と時期が重なったこともあり、想定よりもコストアップになった」とのこと。

昨今建築費の増大から再開発事業がストップしている報道もあり、コスト上昇が大きく投資効果が得られにくい場合は計画変更もありそうだ。

OC1オープンの前々日にはモバイル通信部門のmyneoでもフルMVNOを来年度までに行うという発表を行っており[参考記事:オプテージ「mineo」、au回線を利用した音声フルMVNOに参入 提供サービスの充実を見込む]、この投資コスト(金額非公表)も必要となる。オプテージの経営陣の中でどのような判断が行われたのかは不明だが、成長分野で大きく業績を伸ばすべく、アクセルを踏み込んだといえるだろう。