富士通は1月29日、2025年度第3四半期の決算を発表し記者説明会を開いた。連結合計の売上収益は前年同期比1.8%増の2兆4511億円、調整後営業利益は同920億円増の2291億円、当期利益も前年から2556億円増加し過去最高となる3436億円を記録した。全セグメントで増益となり、営業利益と当期利益がどちらも過去最高を達成した。
代表取締役副社長 CFOの磯部武司氏は「第3四半期は増収幅・増益幅が共に上期のペースからもう一段拡大した。特にサービスソリューションの国内ビジネスはDX(デジタルトランスフォーメーション)やモダナイゼーションの需要が引き続き強い」と説明した。
サービスソリューションは生成AI活用などで採算性を向上
サービスソリューションセグメントの売上収益は、9カ月累計で前年同期比946億円(6.1%)増の1兆6577億円。前年度に実施したコンタクトセンター事業の売却を除くと、7.5%増だ。国内市場を中心にDXやモダナイゼーションの商談が伸長した。
調整後営業利益は545億円(33.8%)増の2161億円。増収効果に加え、採算性の改善も進捗し、過去最高益を記録している。増減の内訳を見ると、増収効果による利益増加が346憶円、開発プロセスの標準化や自動化など採算性の改善による利益増加が311億円だった。Uvanceオファリングやモダナイゼーション、コンサルティングへの投資が112億円拡大したが、最終的に前年同期比13.0%増の2161億円で着地した。
サービスソリューションにおける国内の受注状況は、エンタープライズビジネス(産業・流通・小売)が前年同期比100%だった。流通は底堅く推移したが、製造業においては拡大基調での推移。ただし、先行きの不透明さからIT投資を一部縮小する企業も見られたという。
ファイナンスビジネス(金融・保険)は同95%。パブリック&ヘルスケア(官公庁・自治体・医療)は第2四半期に公共向けの大型システム更新案件を獲得し、同104%。ミッションクリティカル・ナショナルセキュリティ業界では、ナショナルセキュリティの大型案件を受注し同125%となった。
磯部氏は「国内ビジネスはDXやSXの案件需要が引き続き旺盛。国際情勢や経済環境変化の不透明さから、特にエンタープライズ系では足元の投資の優先順位を見直しているお客様もいる。一方で、データやAI関連を中心にデマンドの拡大傾向は続いている」と解説した。
国内サービスソリューションの年間売上計画である1兆8000億円に対し、売上実績は1兆2401億円、受注残高は4171億円だ。第4四半期中に1426億円の獲得が必要となる。
サービスソリューションにおける採算性の改善により、311億円の利益増の効果につながったという。グロスマージン率は1.9%増だ。ジャパン・グローバル・ゲートウェイ活用による開発の標準化・自動化に加え、開発工程への生成AIの適用を加速したことが奏功した。
「デリバリーにおける標準化や自動化、生成AIの活用は、単なるコスト効率化のための施策ではない。DXやモダナイゼーションなどのデマンドが拡大する中で、お客様に提供するサービスの価値を高めるための重要施策と捉えている」(磯部氏)
Uvance・モダナイゼーションともに売上を拡大
サービスソリューションセグメントを支える柱の一つであるUvanceは、9カ月累計の受注高が前年同期比45%増の5048億円、売上収益は同53%増の4927億円だった。その内訳は、Vertical(社会課題を解決するクロスインダストリーの4分野)が77%増の2025億円、Horizontal(クロスインダストリーを支える3つのテクノロジー基盤)が40%増の2902億円。
サービスソリューション全体に占めるUvanceの売上構成比は、前年の21%から30%まで拡大した。2025年度の売上計画7000億円に対し、目標達成の確度は高いという。
サービスソリューションのもう一つの柱であるモダナイゼーションは、9カ月累計の受注高が同6%減の2604億円、売上収益は同43%増の2665憶円となった。受注減の要因は、前年度に獲得した大型案件の反動とのことだ。受注残高が積み上がったことからデリバリー体制を整備しているものの、SEの稼働が高い状態が継続しているという。
ハードウェアソリューション・ユビキタスソリューションは売上減も増益に
ハードウェアソリューションの売上収益は、前年同期比399億円(5.6%)減の6729億円。付加価値の小さな他社製ソフトウェアの売上計上を総額から純額へ変更した影響を除くと前年並み。コストの効率化により利益面は改善され、調整後営業利益は同229億円増の370億円。
システムプロダクトの国内の売上収益は前年並みで、海外では売上基準変更の影響に加えてアジアでの小規模・低採算事業を縮小している。メインフレーム増収の影響や、エフサステクノロジーズの業績が改善したことが採算性の向上に寄与した。
ネットワークプロダクトの売上は低い水準ではあるが、基地局納入スケジュールの前倒しによる増収と、ネットワーク事業の新会社「1Finity(ワンフィニティ)」の事業効率改善により増益となった。
ユビキタスソリューションの売上収益は、前年同期比35億円(1.9%)減の1779億円。高付加価値商品へのシフトやコスト改善により、調整後営業利益は111億円(54.6%)増の314億円。
2025年のWindows10サポート終了に起因する需要増が上期で収束したほか、前年の大口商談の反動から減収となった。
通期業績見通しを上方修正、配当を20円増額
富士通は2025年度9カ月累計の実績を踏まえ、連結の業績見通しを上方修正した。売上収益は前回予想から800億円増となる3兆5300億円、調整後営業利益は同200億円増となる3800億円にそれぞれ修正した。調整後当期利益は同250億円増の2750億円だ。
同社は利益増およびキャッシュ増を受け、2025年度期末の配当を、1株当たり15円から35円へ20円増額する。その結果、年間の配当金額は30円から50円となる。中期経営計画におけるキャピタルアロケーション(資産配分)計画を超過する350億円について、すべてを株主還元に充当する。
磯部氏は「2025年度第3四半期までの実績では、全セグメントが力強い増益を達成した。通期業績予想においては利益、キャッシュ、株主還元が過去最高水準となる見込み。国際情勢や事業環境の変化は目まぐるしく予断を許さないが、われわれ自身も止まることなくビジネス変革を機動的に実行し、2025年度の業績予想を達成するだけでなく、その先の持続的な価値向上に引き続き取り組む」と述べ、説明会を締めくくった。










