ソフトバンクとエリクソン・ジャパンは1月29日、首都圏の大型アリーナやドーム型施設といった国内の複数の大規模イベント施設へ、AIを活用した外部制御により、トラフィックの変化に応じてMassive MIMO対応基地局のカバレッジパターンを自動で最適化するシステムを導入することを発表した。
同システムは、外部制御装置(サーバー)が基地局から1分間隔で取得する利用者分布データをもとに、AIがイベント発生状況を自動判定。Massive MIMO基地局の水平面と垂直面のカバレッジパターンを動的に自動で最適化するという仕組みになっている。
今回のシステム導入は、2025年の大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)での実証成功を受けた取り組み。ソフトバンクが同システムのユースケースの検討と実証評価、エリクソン・ジャパンがシステム提供を担う。両社は今後も、同システムの導入拡大を積極的に推進していく。
システム導入の背景と、大阪・関西万博の実証成果
大規模イベント施設やテーマパークなどでは、利用者のトラフィック分布が通常時とイベント発生時では大きく変動するため、その偏りや変化に応じて基地局を柔軟に制御する必要がある。
特に、花火大会などの天候による中止や開始時刻の変更、特定エリアの入場制限などが生じるイベントでは、あらかじめ時間帯を指定してカバレッジパターンを変更する従来の手法では、適切に対応できない場合があったという。
状況に応じたカバレッジパターンの自動制御・最適化が行えるソリューションが求められることから、両社はAI(人工知能)を活用した基地局外部制御による、トラフィック自動最適化に関する検証を重ねてきた。
大阪・関西万博における実証では、複数のカバレッジパターン変更時のパフォーマンス結果を教師データとして、AIモデルを構築。外部制御装置が基地局から1分間隔で取得する、Massive MIMOのビーム推定情報などの利用者分布関連データをもとに、イベント発生状況を自動で判断し、基地局のカバレッジパターンを最適な構成へ切り替えた。
その結果、急激なトラフィック変動時において、エリア全体の5Gユーザーの下りスループットが約24%改善(76.9Mbps→95.5Mbps)するなど、通信品質の向上を確認。急激なトラフィック変動に伴って発生しやすい輻輳(ふくそう)によるデータ送受信が停滞する現象、いわゆる“パケ止まり”の回避に寄与したとしている。
両社はこの成果を受け、時間帯によってユーザーのトラフィック分布が大きく変わる大規模イベント施設などで、同システムの運用を開始することにした。
