オールインワン AI ワークスペースを提供するGensparkは1月28日、「AIワークスペース 2.0」を発表し、日本における法人展開を本格化することを発表した。同日に同社CEOのEric Jing(エリック・ジン)氏、CTOのKay Zhu(カイホア・ズー)氏、COOのWen Sang(ウェン・サン)氏が来日し、都内で発表会を開催した。
Gensparkの創業背景と急成長の理由
Gensparkは、2023年12月に米国シリコンバレーでMicrosoft、Meta、Google出身のエンジニア達が創業し、2025年4月に業務自動化のAIエージェントである「Gensparkスーパーエージェント」をリリース。現在の評価額は12億5000万ドル以上、今年1月にはプロダクトリリース後から9カ月でARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)が150億円超を達成し、急成長しているAIエージェント企業の一角として注目されている。
CEOのジン氏は「ターゲットは企業ユーザーとホワイトカラー層であり、ビジョンは“One prompt, job done(ひとつの指示で、業務が完結)”だ。従来型のチャットボットの回答をユーザーがコピー&ペーストして使う世界から脱却し、ユーザーが提示したプロンプトを起点にAIエージェントがユーザーのツールやデータを自律的に操作し、業務を完遂する」と力を込めた。
2025年11月に発表したAIワークスペース 1.0は、一般的なナレッジワーカー向けのオールインワンAIプラットフォームで、特別なAIスキルを不要とし、会話ベースでの操作を可能としている。
ChatGPTやGeminiやClaude、Nano Banana、Sora、ElevenLabsなどを含む70個以上のAIモデルを統合しており、多様な指示に対して、Gensparkが自律的に指示を一連のタスクに分解し、複数のモデルから最適なものを選定し、自動でプロジェクトを進行するので、実際に業務で使えるアウトプットを生成することができるという。
ワークフローはAIエージェントが公共インターネット、プライベートデータ、物理世界から必要な情報を収集する「情報収集」、中央のスーパーエージェントが情報を統合・解析する「情報処理」、チャットボットのような文章回答に加え、Webサイトなどの完成されたアウトプットを直接提供する「ビジネス成果物の生成」の3段階で構成している。
今回、発表したAIワークスペース 2.0は、音声をテキストへ変換する「AI Voice Dictation(音声入力)」アプリ、SalesforceやServiceNowなどと連携してメール処理を効率化する「Customer Workflow」を備えた強化版のAI Inbox、さらに新たに提供開始されたAI Slides、AI Music、AI Audioなどが含まれる。
ジン氏は「日本はグローバルにおいてトップ3の市場。今後、大規模な投資を予定しており、すでに日本人スタッフを採用しており、さらなる増員も進行中だ。調査によると、日本企業の70%以上がAI人材の不足を挙げており、主な理由は『まだ使い方が分からない』というものだ。Gensparkは簡単で直感的な操作性により、こうした課題の解決を目指す」と胸を張っていた。
Gensparkの技術構造とセキュリティ
続いて、CTOのズー氏はGensparkのエージェントエンジンについて「AIモデル」「ツールセット」「データセット」の3つの観点から解説した。
AIモデルについては、モデルのサイズや特性が異なる70種類以上のAIモデルを統合し、ユーザーがどのモデルが適しているかを学ぶ必要がないよう、自動で最良のモデルを選び出す仕組みを備えているという。
また、ツールセットはプロダクト内に15を超える信頼性の高いツールを有しているほか、データセットに関しては、インターネット上の情報から蒸留した高品質データセットを20種以上保有し、厳格な検証と継続アップデートで品質を維持することにより、ハルシネーション(幻覚)の削減を実現しているとのこと。
同氏は「人が介入せずとも体系的な評価を通じて日々パフォーマンスが改善される。LLM(大規模言語モデル)ベースのジャッジエージェントが全判断を評価するため、各種の決定やツールの使用、実行品質を常時評価し、強みや改善点をきめ細かくフィードバックする。評価結果は、最も良い結果を生むプロンプトや戦略を体系化したプロンプト・プレイブックと、強化学習で内部化している」と説明した。
一方、データセキュリティとプライバシーに関しては、SOC 2 Type 2、ISO 27001を取得済みであり、今後はGDPRやHIPAAなど欧州の規制や医療分野への対応強化に向け、認証の拡大を進めている。
エンタープライズ向けセキュリティでは、企業データをモデル学習に使用せずに機密情報を保護するゼロトレーニングポリシーとし、エンドツーエンド暗号化、企業データのアイソレーションをはじめ、ユーザーが安心して利用できるデータ保護体制としている。
パートナーシップとエコシステム連携については、Microsoft、Anthropic、AWS、OpenAIなどと連携し、多様なモデルやインフラへのアクセスが可能としており、オーケストレーションだけでなく、自己改善レイヤーにおける最適化も支援する。
法人展開の加速と採用状況
次にCOOのサン氏が登壇し、採用状況を紹介した。Gensparkは2025年4月にまずは個人ユーザー向けにリリースし、リリース後1カ月半で登録者数が200万件を突破し、市場ニーズにフィットしていると感じたようだ。
同氏は「夏ごろには、世界各地の企業から導入要望が寄せられた。多くの企業が独自にGensparkを使い、社内に正式導入を提案する動きも生まれた。当初は法人向け製品が存在しなかったため、新たにエンタープライズ向け製品を開発・提供することになった」と説く。
前述の通り、昨年11月に法人向け製品として「GenSpark for Business」をローンチし、現在は「Team」と「Enterprise」をラインアップしている。
Teamプランは2~150名の組織向けで中小規模チームを対象としており、EnterpriseプランはSSO(シングルサインオン)を含む強化されたセキュリティとエンタープライズ機能を搭載。提供開始から約2カ月で1000社以上が購入・導入・オンボーディングを完了しており、サン氏は「目まぐるしく、嵐のような勢い」と表現している。
そして、同氏は「ビジネス成果の20%を達成するためにオンラインでの雑務に80%の時間を費やしており、当社は“1つのプロンプトを入れるだけ”でこの80%の雑務を肩代わりすることを目指している。AI革命の中心には常に人間が存在しており、Gensparkはメンバーの潜在能力を引き出すとともに、チームを雑務から解放し、ビジネスの成長を後押しする」と強調していた。
なお、発表会ではお笑い芸人のヒコロヒー氏が顧客役、錦鯉の長谷川雅紀氏、渡辺隆氏が営業担当者役として、ヒコロヒー氏のエッセイを世界に売り出すためのプレゼンテーション資料を作成するデモンストレーションを披露していた。







