NTTドコモは1月27日、LIVE BOARDの協力により、街頭にあるデジタルサイネージや大型ディスプレイなどのDDOH(Digital Out-of-Home)広告の公開前に実施する広告主審査業務を効率化する技術を開発したことを発表した。
この技術は、従来は人手で行っていた複数の審査項目に対し、LLM(Large Language Models:大規模言語モデル)を活用して業務を効率化する。同技術の活用により、DOOH広告主審査業務を3割以上効率化できると見込めるという。
技術開発の背景
広告審査を行う際には、広告主の公開情報やさまざまなガイドラインとの照合などを行う必要がある。近年はDOOH広告配信数の増加に伴い、審査時間や運用コストの増大が課題となっている。
DOOH広告審査業務は主に「広告主審査」と「意匠審査」の2つの審査に分けられるが、今回開発した技術は、DOOH広告主の信頼性を確認する「広告主審査」を効率化する。
「広告主審査」においては、該当の広告主が信頼できるかや、広告内容が法律や規約に違反していないかなどを確認するため、「会社概要調査」「法令遵守状況調査」「リスク調査」「媒体ごとの競合有無調査」など複数の調査結果に基づき審査が行われる。
従来の調査においては広告主名、商材名、公式サイトや商材に関する詳細ページの情報を元に、インターネット上にあるさまざまな情報を収集する必要がある。
開発した技術の概要
「広告主審査」業務にLLMを活用する場合、「情報鮮度の限界」と「外部リソースへのアクセスの限界」という2つの障壁が生じる。
「情報鮮度の限界」は、LLMで常に最新情報を取得し続けるのが難しいことを指す。もう一方の「外部リソースへのアクセスの限界」は、例えばLLMが出力したURLを押下した場合に無効なページに遷移してしまうことを指す。
NTTドコモらはこの2つの課題に対する解決策として、Web検索型グラウンディング技術、会社概要調査結果の自動生成技術、法令遵守状況調査結果の自動生成技術、リスク調査結果の自動生成技術、媒体ごとの競合有無調査結果の自動生成技術の5つで構成される新技術を開発した。
Web検索型グラウンディング技術は、AIが回答を生成する際に、外部のWeb検索サービスを利用して最新かつ信頼できる情報源を参照し、その情報に基づいて回答を生成する。会社概要調査結果の自動生成技術は、AIが公式サイト上に記載の会社概要である「会社名」「本社所在地」「設立年月」「資本金」「代表者名」「事業内容」「問い合わせ先のURLや電話番号」などの情報を正しく取得し表示する。
法令遵守状況調査結果の自動生成技術は、AIが広告主の最新の法令遵守状況の確認を調査し、判定結果を表示する。リスク調査結果の自動生成技術は、AIが広告主の公開情報を調査し、その判定結果を表示する。
また、媒体ごとの競合有無調査結果の自動生成技術は、AIが広告主の業種や商材の情報から、媒体ごとに競合有無の判定結果や商材ごとの審査基準が格納されている審査基準データベースにアクセスし、掲載可能な媒体数や媒体名を表示する。また、調査結果の詳細についてまとめたファイルも出力可能。
これらの技術を組み合わせることで、正確かつ過不足なく必要な情報をAIが取得可能だという。
NTTドコモは今後、放送倫理や法令の観点から広告の動画素材が公衆の目に触れる大型ビジョンにふさわしい内容かをチェックする「意匠審査」においても、動画の繰り返し再生による目視確認作業にAIを活用して効率化する技術に着手する予定だ。
