日本HPは1月22日、2026年の事業説明会を開催し、同社が従来から掲げている“Future of Work”戦略について説明した。
日本HP代表取締役社長の岡戸伸樹氏は冒頭、2025年度のHPグローバル業績が売上約553億ドル(前年比3.2%増)、営業利益約31億7,400万ドル(前年比16.9%減)の増収減益となったことを紹介。国内では、東京ゲームショウへ6年ぶりに参加するなど「実りある1年だった」と総括した。
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(左から順に)日本HP 執行役員 カスタマーサポート統括本部 統括本部長の室屋智子氏、同社執行役員 パーソナルシステムズ事業本部 事業本部長の松浦徹氏、代表取締役社長執行役員の岡戸伸樹氏、セキュリティエバンジェリストの木下和紀エドワルド氏
またメモリやSSDの不足高騰については「自社でコントロールできない問題」とし、現在は「自社でコントロール可能な範囲に注力し、強靭なサプライチェーンで日本のニーズに最大限応える」方針を表明。供給逼迫に影響を受け、PC価格の値上げの懸念もあるが、「できる限りの調達をし、きちっとしたコストパフォーマンスを持った形でご提供できるように努力していく」とコメントした。
3本柱で加速するHPの「Future of Work」戦略
Future of Work戦略は、日本HPが従来から掲げてきた「ワーカーのための技術投資」を体系化した取り組みだ。2026年は、ローカルAIとクラウドAIを組み合わせた「ハイブリッドAI」の推進、より快適で安心・安全な「ハイブリッドワーク」の進化、ものづくりの課題を解決する「ものづくりDX」の強化――という3つを柱として掲げる。
ローカルとクラウドを組み合わせた「ハイブリッドAI」の推進については、主要なローカルSLM(小規模言語モデル)とLLM(大規模言語モデル)の活用・普及を目的とした「HP ハイブリッドAI推進コミッティ」(以下、コミッティ)の設立を発表した。
日本HPが旗振り役となり、エコシステム構築を支援し、幅広い業種・業態の日本企業を対象に無償、有償のプログラムの提供を2026年4月から開始する。
2026年1月22日時点での会員企業は日本HP(主催)、株式会社WEEL(幹事社)、株式会社GxP(幹事社)に加え、AIソリューションの参加企業が株式会社Aww、Upstage AI株式会社、株式会社アドバンスト・メディア、株式会社アルファコード、株式会社調和技研、株式会社neoAI、楽天グループ株式会社。
AIテクノロジーの賛同企業が日本マイクロソフト株式会社、エヌビディア合同会社、日本エイ・エム・ディ株式会社、インテル株式会社、クアルコムジャパン合同会社。コンサルティング提供組織の参加企業が一般社団法人AICX協会、株式会社Workstyle Evolutionとなっている。
提供されるサービスのうち、無償プログラムは下記の通り。
- Microsoft Foundry on Windowsで開発したサンプルライセンス/コードの無償提供
- AIテクノロジー企業各社の最先端技術情報の提供と実践的研修プログラム
- 主要オープンモデルに合わせたハードウェア仕様のアドバイザリーサービス
- コミッティ賛同企業のAIソリューションPoCとサポートプログラム
- HPデバイスとパッケージ販売されたAIソリューションの実装や活用支援サービス
有償プログラムは下記の通り。
- 専門家によるAI導入・活用戦略コンサルティング
- オンデバイスAI/ハイブリッドAIソリューション受託開発・実装支援
また、エンタープライズ向けAIスタートアップのUpstage AI株式会社と戦略的アライアンスを締結し、同社が提供するAIワークステーション統合パッケージ「SolarBox」を2026年春から日本国内で展開する。
「SolarBox」は日本語に最適化された大規模言語モデル(LLM)を搭載したAIワークステーション統合パッケージ。経済産業省認定の国産AI、高精度ドキュメントAI、セキュアなオンプレミス基盤を組み合わせることで、機密情報を外部に出すことなく、インターネット分離環境下でも高度な文書処理やAIソリューションを提供できることが特徴だ。
通信とセキュリティで支える次世代ハイブリッドワーク
ハイブリッドワークの進化については、5年間無制限でデータ通信が可能な「HP eSIM Connect」の契約法人数が3,000社を超え、順調に事業が推移していることをアピールした。同サービスはKDDIが提供する、通信サービスを一定期間利用できる仕組みをデバイスに組み込んで販売する「ConnectIN」をもとにしたもの。
2026年は「HP eSIM Connect」サービスに、国際ローミング/副回線キャリア/MDMセキュリティを加えた「HP eSIM Connect PLUS」の提供を予定する。
また自宅や外出先など、セキュアな回線に守られた会社以外の環境で仕事をするハイブリッドワークの浸透を背景に、ファームウェア攻撃や量子脅威に対するハードウェアベースの防御を実現する「HP Wolf Security」を全てのデバイスに組み込む。加えてPC故障後の修理だけでなく、故障を予防検知しプロアクティブに知らせる戦略的サポートを強化する。
2026年新製品ずらり、注目はキーボード型Copilot+ PC
2026年1月に米ラスベガスで開催されたCES 2026で展示した製品を含め、日本で販売するPC新製品も公開された。AI PCのラインナップを大幅に拡充し、Intel、AMD、Qualcommプロセッサを搭載したPC群を法人向け・個人向けともに提供する。
法人向けには次の3製品が発表された。このうちHP EliteBook X G2iシリーズは当初Intelプロセッサ搭載モデルが投入されるが、AMDプロセッサ搭載モデルおよびQualcommプロセッサ搭載モデルの発売も今後予定されている。
- HP EliteBook X G2i 14 AI PC:510,400円~/2月6日発売
- HP EliteBook X Flip G2i 14 AI PC:525,800円~/2月6日発売
- HP EliteBoard G1a Next Gen AI PC:438,000円/3月中旬発売
HP EliteBook X G2i 14 AI PCはNPU単体で最大50TOPS、プラットフォーム全体で最大180TOPSの処理性能を備えており、グラフィック負荷の高いAIアプリケーションに適している。メンテナンス性を重視したトップマウント設計を採用し、キーボードを取り換えられる機構を搭載。IT部門が従来1時間半ほどかかっていたキーボード交換を10分ほどに短縮できるという。
またHP EliteBoard G1a Next Gen AI PCは、一見するとキーボードの外観ながらAMD Ryzen AI 300シリーズプロセッサを内蔵し、実はCopilot+ PCの要件を満たしたデスクトップPCというユニークな製品。例えばコールセンター業務などで急な人員増減が発生した場合でも、キーボード(型の本体)を持ち運ぶだけで増員や場所移動に対応可能とする。
PC製品については、同社のゲーミングブランド「OMEN」と「HyperX」を統合させ、HyperXをマスターゲーミングブランドとする発表が行われた。
HPは2021年に周辺機器ブランド大手のHyperXを買収し傘下に収めていたが、今回ブランド統合したことで「PCから周辺機器、ソフトウェアまで一貫した統合的なゲーミング体験を実現する」と紹介された。








