
最近の外務省が情報発信の手法を大きく見直したと、霞が関界隈で話題になっている。この旗振り役は10月に着任した茂木敏充外相で、キーワードは「動画」と「即応の徹底」だ。
「ここは外務省の飯倉公館です。これからボツワナの副大統領をお迎えして、ワーキングディナーを開く予定です」
茂木氏は11月26日、飯倉公館でカメラの前に立ち、約1分半のレポートの収録に臨んだ。動画では、丸い地球儀を出しながらボツワナがアフリカのどこにあるのか、茂木氏自身が説明を加えた。
茂木氏は就任以来、こうした動画を細かくX(旧ツイッター)やフェイスブックなどにアップしている。国際会議の要人控室に置いてあるコーヒーや、外務省に海外の要人を迎える直前の面会室の様子などをさりげない形で紹介しているのだ。
茂木敏充・外相
外務省関係者によると、茂木氏が過去2回挑んだ自民党総裁選でこうしたショート動画を多用しており、今回も「外相の活動を親しみやすく紹介したい」と直接提案してきたという。
また、最近は、台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁以降、日中関係が急速に悪化している。中国は内外に偽の情報を流し、日本をたたく「情報戦」を仕掛けてきている。
中国政府が11月に「日本で中国人を狙った犯罪が多発している」と発信した際に、外務省はSNSで中国人が凶悪犯罪の被害者となった事件数を具体的に示しながら「指摘は当たらない」と即座に反応。同省幹部は「情報戦に負けないよう、相手方の発信に即応する体制を部局をまたぐ形で取っている」と明かす。
お役所仕事が目につき、対外的な情報戦にも「いわれっぱなし」になりがちだった外務省。同省幹部は「手間はかかるがコストはわずか。手足を動かしながら、SNS時代にふさわしい戦い方をしたい」と意気込んでいる。
