AIバブルが囁かれるが、ハーバード大学の教授で経済学者であるJason Furman教授によると現在のAIブームが崩壊した場合、ドットコムバブルに近い影響になると分析している。これは、リーマンショックに繋がった住宅バブルとは異なるという。
「AIバブル崩壊から金融危機が起きる強い類似性はない」
Furman氏はビル・クリントン政権下でドットコムバブル、バラク・オバマ政権下で金融危機への対応に携わった経験を持つ。同氏は1990年代後半から2000年代のドットコムバブルとサブプライム・ローン問題を比較し「ドットコムバブルが崩壊した時は浅い不況で済んだ。実際には、その後より速い生産性成長を遂げ、素晴らしい企業や技術が生まれた。サブプライム・ローン問題は非常に深刻な不況となり、基本的に何も良いものは生まれなかった」と述べている。
同氏によると、両者の違いは2つあるという。1つ目は、技術株は個人資産に占める割合が住宅よりはるかに小さいため、バブル崩壊時の資産効果が限定的ということ。2つ目は、技術株は金融システムにおいて住宅ローン債券のような役割を果たしていない点だ。そして、現在のAIバブルについて、同氏は「AIバブル崩壊から、銀行の取り付け騒ぎのような金融危機が起きる強い類似性はない」と指摘。
2000年にホワイトハウスでバブル崩壊のシナリオ検討に参加した経験を持つ同氏は、現在のAIバブルへの懸念自体がドットコム時代と似ているという。業界自体から驚くほど多くのバブル論議が出ているが、心配すること自体がバブル崩壊への免疫になるわけではないとのことだ。バブルのタイミングを見極めることは、非常に難しいと述べている。
評価の正当化には技術の成功と収益化能力の両方が必要
Furman氏が懸念するのは、政府の財政介入、そして技術そのものより財務評価の過熱だ。現在の評価を正当化するには、技術の成功と収益化能力の両方が必要で、モデルやデータ量を大きくするほど性能が向上する“スケーリング則”の限界や競争激化がリスクとなる点だ。
また、最近の米国GDP成長の90%以上が情報処理機器とソフトウェアへの投資によるものという現状について、同氏は経済が1つのシリンダーだけで動いていると指摘し、よりバランスの取れた成長の必要性を訴えた。
同氏はOpenAIの労働問題コンサルタントを務めるが、赤字状態にあるOpenAIについては、「OpenAIやこの業界の他社が破綻するとはまったく思わないが、仮にそうなっても(OpenAIなどのAI企業は)銀行ではない。大き過ぎて潰せない存在でもなければ、システムのあらゆるものと相互接続しているわけでもない」とコメントしている。
データセンター建設が減少し、雇用が失われる可能性はあるが「連邦準備制度理事会は金利引き下げなどで他の経済活動を創出できる」と指摘した。12月18日付のBloombergが報じている。