住友生命保険は今年3月、会計システムの刷新プロジェクトを開始した。同プロジェクトでは、メインフレームで稼働している会計システムを「Oracle Cloud ERP」をベースに刷新する。
取締役 代表執行役副社長 角英幸氏が、今年12月に開催された日本オラクルのイベントで、同プロジェクトについて説明を行ったのでその狙いなどを紹介する。
ウェルビーイングへの貢献と働き方変革の実現に向けて
住友生命保険は、「住友生命グループVision2030」において、2030年時点のありたい姿を「ウェルビーイングに貢献する『なくてはならない保険会社グループ』」と定め、その実現に向けてすべてのステークホルダーのウェルビーイングを支える取り組みを進めている。
その一環として、国内保険事業では従来の保険とは一風異なる健康増進型保険「Vitality」を提供している。「Vitalityはリスクに備えるだけではなく、健康増進を支援する、これまでとはまったく異なるタイプの商品。疾病の予防など、広範な領域でウェルビーイングを支える」(角氏)
「ウェルビーイングへの貢献に向けて、働き方を変える必要があるが、メインフレーム、オンプレミスで作ったシステムが足枷になっている」と角氏は述べた。このボトルネックを解消して、コスト面も含めた柔軟性を確保したいという。
「会計領域においてはメインフレームが変革のボトルネックとなっていた。これまでオンプレミスで構築してきたが、結果としてバラバラなシステムが出来上がってしまった。そのため、法令対応などを行う際に、システム改修が煩雑になるという課題があった」(角氏)
このプロジェクトは、スミセイ情報システム、アビームコンサルティングも加わって進められ、ワークフローシステムには、スミセイ情報システムの経費精算ソリューション「皆伝!ワークフロー」を採用する。
角氏は「子会社スミセイ情報システムの会計とも連携して、誰もが業務を簡単に進められることを目指している。経営の柔軟性を高めることで、価値創造に集中できるようになる」とも語っていた。
こうした背景から、同社は会計システムをメインフレームから切り出してクラウドに移行することで刷新すると決めた。
Fit to Standardで「Oracle Cloud ERP」上に統合
住友生命保険の会計システムは、全国の1500の拠点で働く本社・支社・支部の従業員(約1万5,000ユーザー)に使われており、各拠点が業務に合わせてシステムを持っていたが、クラウドシステムである「Oracle Cloud ERP」上に統合する。
システム構築においては、「Oracle Cloud ERP」の標準機能に合わせて業務プロセスを改革するFit to Standard方式を採用。したがって、拠点と支社の業務を見直し、個々の業務をシステムに合わせることに取り組んでいるそうだ。 ワークフローシステムには、スミセイ情報システムの経費精算ソリューション「皆伝!ワークフロー」を採用。両システムの連携により、保険業界特有の財務会計・予算管理プロセスの簡素化・標準化やペーパーレス、データの一元管理などを実現する計画だ。
2026年4月の本格稼働に向けて、現在、テストが行われている。
AIを前提として業務を再構築する
角氏は、「Oracle Cloud ERP」を選んだ理由として「金融業務の要件を満たしていること」「セキュリティの高さ」「リアルな事例の紹介」を挙げた。
「Oracle Cloud ERP」はクラウドサービスながら、金融機関が必要とする要件を柔軟に定義できるという。「Oracle Cloud ERPは、金融機関独自の特殊な処理も組み込める」(角氏)
セキュリティに関しては、金融庁が定める要件に加え、非機能要件も満たしていた。事例は、大手の金融機関の成功事例を共有してもらったことが参考になったそうだ。
オラクルは「Oracle Cloud ERP」をはじめ、SaaSにさまざまなAIを組み込んでいるが、角氏は生成AIについて「あらゆる業務プロセスが変わる、保険自体も変わると思っている」と大きな期待を示した。
角氏は今後の展望として、「AIを前提として業務を再構築し、人の強みとAIの融合を前提に考える必要がある。人の強みは顧客体験価値を高めることにある。会計領域においてもAIを前提にOracle Cloud ERPを導入した。これにより、データの粒度をそろえて一元管理することが可能になり、レジリエントな土台を構築できる考えている」と語っていた。
