日本オラクルは12月11日、イベント「Oracle Cloud and AI Forum - Technology」を開催した。基調講演に登壇した取締役 執行役 社長 三澤智光氏は、今年10月に米国ラスベガスで行われた年次イベント「Oracle AI World」のハイライトとして、AI関連の最新の取り組みを紹介した。

  • 日本オラクル 取締役 執行役 社長 三澤智光氏

    日本オラクル 取締役 執行役 社長 三澤智光氏

最大16zettaFLOPSを実現するOCI Zettascale10を発表

三澤氏は、現在、OpenAIおよびソフトバンクと米国テキサスで建設しているAIデータセンター「Stargate」について触れ、「フルで稼働すると4.5GW規模のデータセンターになり、原発4.5基分の電力が必要となる。この超巨大なデータセンターから次の産業革命が生まれてくるだろう」と、AIがもたらす可能性に言及した。

  • AIデータセンター「Stargate」

    AIデータセンター「Stargate」

同社は1年前に13万基以上のGPUをスケールさせる「Oracle SuperCluster」を発表したが、「Oracle AI World」で、「Stargate」に導入するAIスーパーコンピュータとして「Oracle Cloud Infrastructure(OCI) Zettascale10」を発表した。OCI Zettascale10は初期段階で最大80万基のNVIDIA GPUを備えている。

三澤氏は、同社がこのような超巨大なスーパーコンピュータを作れた理由として、ネットワークの技術を挙げた。「Oracle AI World」で、OCIのネットワークソフトウェアおよびアーキテクチャスイート「Oracle Acceleron」が発表された。Acceleronでは、1枚のSmartNIC上で顧客とOracleの領域をハードウェアレベルで完全に分離する。これにより、「NVMe over TCP」を利用したストレージアクセラレーション、最大伝送速度での暗号化、ベアメタルNICのパッチ適用が可能となる。

三澤氏は、「競合より圧倒的なネットワーク性能を持つクラウドを提供する」と、自信を見せていた。

GPUと生成AIを作らない代わりにAIデータプラットフォームに投資

続いて、三澤氏は「今、企業がAIを使えていない理由は何か」と問いかけ、その解として、自社のデータが使える状況にないことを指摘した。

「今後、AI活用においては、プライベートデータをいかに使うかが重要になる。プライベートデータを使った推論を行う、これがAI革命の本質になる」(同氏)

AIが推論しやすくなるには、データを整える必要がある。これを実現するデータプラットフォームとして、「Oracle AI World」で「Oracle AI Data Platform」が発表された。

三澤氏は「AI分野において、やらないことを2つ決めた。GPUを作らないこと、生成AIを作らないことだ。その代わり、すべての生成AIの学習と推論を支えるインフラ、推論時代に向けたAIデータプラットフォームに投資する。これがオラクルの戦略」と語った。

推論時代のOracle AI Data Platformを発表

そして、三澤氏はプライベートデータのサイロ化と複雑性が生成AI活用の妨げになっていると指摘した。現在のAIデータプラットフォームはフラグメントだが、同社のデータプラットフォームは1つのエンジンでOLTPとDWHを処理できるという。

「AIデータプラットフォームに求められるものはマルチモーダルだが、オラクルは複数のデータタイプを提供している唯一のベンダー。さらに、データプラットフォームには拡張性、セキュリテイも求められる。行、列、セル単位でアクセスコントロールすることが求められると考えているが、オラクルのデータベースならできる。オラクルのデータベースはAI時代にふさわしい」(三澤氏) 三澤氏は「データだけがあってもAIは理解できない。データのコンテキスト情報の不可が重要。1つのデータに対し、9つのコンテキストエンジニアリングが必要と言われており、われわれはIcebergをサポートしている」と続けた。

「あるベンダーのコンテキストエンジニアリングで作ったデータはそのベンダーでしか動かないが、オラクルで作ったコンテキストエンジニアリングで作ったデータは動く」(三澤氏)

  • オラクルが提供するAI Readyなデータプラットフォーム

    オラクルが提供するAI Readyなデータプラットフォーム

イノベーションを創出するにはITコスト構造改革が不可欠

三澤氏は、イノベーション創出へのアプローチとして、レガシーシステムのクラウドモダナイゼーションによって、データ統合をしやすい形にしておくことが必要と述べた。

さらに、三澤氏は「AIを活用するにはAIコスト構造改革が必要」と訴えた。

「日本の市場は9割が人件費と言われているが、その分、複雑なカスタマイズが行われ、複雑なインフラを運用している。これがイノベーションの足枷になっていると考えている」(三澤氏)

人件費を大幅に削減し、これをAIデータプラットフォームに振り向けることが必要だという。