2026・日本の課題

国、企業、そして、 個人それぞれの役割

「危機管理投資や成長投資、そして、強い経済をつくる。また、新技術立国をつくるという国の方針について、経団連も基本的な方向性は全く変わらない」

 経団連会長・筒井義信氏は政策課題が山積している中で、「経済と政治はしっかり対話と連係をして臨んでいきたい」と語る。

経団連会長・筒井義信「企業がフロントランナーとしての意識で行動してこそ」

 まさに産・官・学連携で、日本再生をしっかりとしたものにしていかなければならない時である。

 人口減、少子化・高齢化という環境下で、どう日本の再生を図っていくかという命題。米国ファーストを掲げるトランプ政権のように、今は世界中で自国第一主義がはびこる。自らの国益を大事にするのは当然のことであるが、他国を押しのけてまでも、という流儀では、国際秩序は崩れてしまう。

 そのために80年前、国際連合ができ、さらにIMF(国際通貨基金)や世界銀行など、途上国支援も含めて、新しい経済・通貨体制が構築された。その世界秩序が今、揺さぶられている。戦争や紛争が続く中、この混沌の中で、新しい世界秩序をどうつくっていくか―─。日本はその使命と役割を担うと共に、自らの経済再生を図っていかねばならない局面にある。

 構想力が求められている今、短期的な課題解決を図りながら、中長期の視点でのビジョン構築が不可欠だ。

 現在、一人当たりGDP(国内総生産)では、日本は38位、台湾が37位、韓国が36位というポジション。先進7カ国中、イタリアにも抜かれて最下位である。ここから脱出し、いかに生産性を上げていくか。日本の潜在力が問われている。

 今、国の役割とは何か。と同時に、企業の役割、そして、個人の役割が問われている。

 ややもすると、人口減・少子化・高齢化で国内市場が縮小する中、海外市場をどう開拓していくかということと、国内市場の掘り起こしという2つの課題を日本は抱えている。

 国・企業・個人それぞれの使命と役割があるが、日本再生の主役はやはり民間企業。今後、日本の強み、潜在力をどう発揮していくかという課題である。

日本の強みとは何か?

「日本は成熟国家として、やるべきことがある」

 三菱総合研究所理事長の小宮山宏氏は、「日本は成熟国家の社会インフラをつくる時ではないか」と提言する。

 例えば、都心ではオフィスビルの建設が相次ぐが、人手不足が成長の制約要因となり、「都市部での建築物やホテル建設は従来2年でできるところを今は3年がかかる」と発注側は嘆く。そこに諸資材費の高騰も加わり、東京・中野駅前の「中野サンプラザ」再開発プロジェクトが挫折したように、人手不足や物価高騰が日本の成長を押さえる要因になっているという現実。

 そうした中、小宮山氏は「再生可能エネルギー、資源自給、生涯成長、住民出資」という新しいキーワードを使って、これからの日本再生の方向性を示す。鉄やアルミなどの金属資源も都市鉱山から再生すれば、十分日本で必要な金属資源を調達できるという小宮山氏の指摘。成熟した飽和国家、物質が飽和している国だからこそ、資源は回収できるという氏の構想。こうした知恵を掘り起こして、日本再生を図っていくということである。

 内外の投資を日本に引き戻すには、こうした構想力の伴うプロジェクトをつくる必要がある。

 これまで産業界は成長のために、〝縮小ニッポン〟への投資を避け、海外へ投資し、成長を図ってきた。それが皮肉にも〝失われた30年〟という現実にもつながっている。今は経済安全保障という新たな考え方も加わって、また、AI(人工知能)向けのデータセンターや半導体工場建設への投資も相次ぎ、国内投資への流れができつつある。

 経団連会長の筒井氏も「これから10年、15年先を見据えると国内にしっかりと投資していくことが大事です」と、経団連としても2040年度で200兆円の国内投資を積み上げるという方向性を打ち出している。

 また、地方創生をどう進めるかも重要な課題。遊休農地が農地全体の約20%を占める中で、「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)という再エネ活用で、農地を有効に使う手立てもある」と小宮山氏も訴える。

 農業と太陽光など、再生可能エネルギーの有効活用である。 「それを全部日本でやれば、今の発電量の5倍は取れ、所得もだいたい4倍になる」と小宮山氏は説く。構想力はある。それを今、実行する時である。

三菱UFJフィナンシャル・グループ社長・亀澤宏規の「強靭な金融力でAIも活用し、新事業領域の開拓を!」