
台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁が経済にも影響を及ぼしている。高市首相の発言に反発を強める中国政府が日本政府に対し、日本産水産物の輸入を再び停止すると伝えていたことがわかった。
高市首相は国会で、中国が海上封鎖のために台湾に武力を用いた場合、日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」に当たるとして自衛隊が出動する可能性を示した。
歴代政権の公式見解から踏み込んだとされ、中国側は猛反発。両国政府が相手国の大使を呼び出して抗議するなど、事態は深刻化している。
中国外務省は日本への渡航を当面自粛するよう、自国民に呼びかけている。さらに中国政府は11月19日、外交ルートを通じて日本産水産物の輸入停止を日本側に伝えたという。
東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を巡り、中国政府は2023年8月から日本産水産物の輸入を停止していた。今年6月に輸入の一部再開が発表され、11月5日に北海道産ホタテ約6トンが中国向けに出荷されたばかりだった。
農林水産省によると、輸出に必要な輸出関連施設の再登録は697施設の申請に対し、登録はわずか3施設という。
鈴木憲和農水相は11月18日の記者会見で、「科学的根拠に基づいて円滑な登録が行われるように働きかけたい」としながらも、中国側の反発については「現場の皆さんが困らないように対応したい」と述べるにとどめた。
鈴木憲和・農水相
ホタテ貝(生鮮等)の輸出額は22年に910億円で、国・地域別でみると中国は51%を占めていた。中国の輸入停止を受け、日本政府は販路の開拓・多角化を推進。24年の輸出額は695億円だったが、米国のほか台湾、ベトナムなど東南アジアが上位を占めた。
中国政府は「処理水の監視が必要」との理由で日本産水産物の輸入を再停止したとされるが、恣意的な規制措置は「脱中国」化を加速させ、悪手となるかもしれない。
