ENEOSホールディングスは12月5日、NVIDIAが提供するAI駆動型化学・材料探索プラットフォーム「NVIDIA ALCHEMI」を活用し、次世代の液浸冷却液および酸素発生反応(OER)触媒の探索と最適化の加速に成功したと発表した。
液浸冷却液の探索では1,000万種の候補から約1,000種に絞り込み
同社はNVIDIA ALCHEMIを用い、大規模な仮想スクリーニングを実施。データセンターの熱管理に向けた液浸冷却液の探索では、約1,000万種の分子候補から、誘電率や熱特性などの要件を満たし実験評価にかける候補を約1,000種に絞り込んだ。
また、現在はイリジウム酸化物のコストが課題となっているOER触媒の探索においては、約1億種の材料群を評価し、合成と試験を優先すべき有望な組成をおよそ1,000件抽出したとしている。
今回の成果は、機械学習原子間ポテンシャル(MLIPs)によるシミュレーションの加速や、ワークフローの自動化によるもの。従来は数年を要していた探索プロセスを数カ月に短縮できることを示しており、NVIDIA ALCHEMIの技術活用により、原子シミュレータ「Matlantis」のコア技術であるPreFerred Potential(PFP)の計算速度も数十倍以上に高速化されたという。
ENEOSホールディングスの藤山優一郎常務執行役員CTOは「今後もイノベーションを加速し、これらの成果を持続可能な未来に貢献する商用ソリューションへと展開していく」とコメントしている。
なお、この成果は米国で開催された「Supercomputing 2025」にて発表されたほか、NVIDIAの公式ブログにも掲載されている。
編集部メモ
NVIDIA ALCHEMIは、NVIDIAが提供するAI/HPC データセンター向けの統合管理プラットフォーム。AIサーバー/GPU/ストレージ/ネットワークから構成されるAIデータセンターを統合管理し、推論・学習・HPCワークロードを自動的に管理するための基盤となる。ENEOSは2025年4月に、このNVIDIA ALCHEMIとPreferred Computational Chemistryが提供する材料探索汎用原子レベルシミュレーター「Matlantis」を活用したAI駆動による新材料の探索・最適化の取り組みを行うことを発表している。その際に、初期の注力分野としてデータセンター向け潤滑油や液浸冷却液を挙げており、長期的には触媒やポリマーなどの諸材料も対象に含める予定としていた。
