
「現在は社会や産業が従来の枠組みから大きく変わる転換期。特に生成AI(人工知能)の急速な進化がそのトリガーになっている。両者が互いに強みを持ちより、飛躍的な成長につなげたい」
こう語るのは、住友商事社長の上野真吾氏。
住友商事が株式公開買い付け(TOB)を実施し、システム開発大手のSCSKを完全子会社化する。現在、住友商事はSCSKの株式50.54%を所有しており、全株式の取得を目指す。買収総額は約8820億円となる見通しだ。
SCSKは2011年10月に当時の住商情報システムとCSKが合併して誕生。以来、13期連続で増収増益が続く。住友商事はSCSKの完全子会社化で、近年注力している『デジタル・AI戦略』の強化を目指す。
住友商事は900社超の連結子会社と国内外で10万社の顧客網を有しており、ここにSCSKの持つ技術力を掛け合わせることで、業界全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させたい考えだ。
近年はAIなどの技術を本体へ取り込み、意思決定を迅速化するため、システム子会社を完全子会社化する事例が増加。伊藤忠商事が2023年に伊藤忠テクノソリューションズを約3876億円で完全子会社化した他、今年に入っては、NTTグループがNTTデータグループを約2兆3700億円で完全子会社化している。
上野氏は「ゆるやかな世の中の進展であれば、従来のままで良かったのかもしれない。AI革命が起こっている現状において、現場を持っているわれわれと技術を持っているSCSKの力を結集し、『デジタル・AI戦略』に舵を切っていく」と語る。
上野氏をはじめ、各社の決断を促している根底にあるのは「このまま手を打たなければAI革命に乗り遅れる」という危機感だ。技術の進歩は加速度的に進んでいくだけに、今後も再編や合従連衡が進みそうだ。