オンラインバックアップサービス企業のBackblazeはこのほど、「Backblaze Drive Stats for Q3 2025」において、2025年第3四半期(7月1日から9月30日)のハードディスクドライブ(HDD: Hard Disk Drive)の統計を公開した。同社が運用する約33万台のHDDのデータを活用し、モデルごとの故障率の変化、長期的傾向などを解説している。
全体的な傾向と故障率の高い製品
Q3期間中に稼働したHDDは合計32万8348台、累積稼働日数は約2943万日、故障したドライブは1250台だった。年間故障率(AFR: Annualized Failure Rate)は1.55%であり、前期の1.36%から上昇している。これは2024年通年の1.57%に近い水準であり、全体的な安定性の中に短期的な変動が見られる結果となった。
期間中は新たに24TBの東芝製品2400台が導入され、稼働対象に加えられた。同ドライブを含めゼロ故障を記録している次の4製品が発表され、特定のモデルが高い信頼性を維持していることが確認された。
- Seagate HMS5C4040BLE640 (4TB)
- Seagate ST8000NM000A (8TB)
- 東芝 MG09ACA16TE (16TB)
- 東芝 MG11ACA24TE (24TB) - 新規導入によるゼロ故障
一方で、故障率の高いモデルも確認された。四分位分析(Tukey法)を用いた外れ値分析の結果、AFRが5.88%以上(外れ値)の故障率を示す3製品を特定している。安定して高い故障率を示すSeagateの2製品と東芝の1製品だが、東芝製品についてはパフォーマンスの最適化を目的にファームウェアアップデートを実施したことが原因とされる。つまり、ドライブの取り外しが故障としてカウントされただけで、実際は故障していないという。
長期的な統計としてHDD製品の生涯レビューが実施された。500台以上が稼働中かつ累積稼働日数が10万日以上の27モデルを分析。27モデル全体のAFRは1.31%であり、過去数期にわたりほぼ同水準で安定推移している。4TBモデルは段階的に廃止中だが、平均稼働月数に大きな変化はなく長寿命と評価されている。なお、同社は20TB以上の製品投入を進めており、現在は全体の約21%を占めるという。
故障の定義と統計の有効性
同社は「smartmontools」および監視ツール「drive sentinel」を使用して、特定の閾値を超えるエラーやその他異常を検出して故障を判断している。これはHDDの故障に限らず、ケーブルの緩みなどでも引き起こされる。
数日または30日後にメンテナンスを終えたドライブが戻ることもあり、単純に故障率を算出することはできないという。そこで同社は独自の判断基準を定義し、ある程度の誤差を許容する方法で統計を算出している。前述の東芝の例がその最たるもので、同社の統計には誤差が含まれることを理解する必要がある。
しかしながら、30万台を超えるHDDの統計は十分評価に値する。過去の報告と合わせることで急激な変化を把握することができ、これら変化を排除することで利用価値のある統計として閲覧できる。特に、ゼロ故障モデルは例外的な要因も低く抑えられており、HDD開発者および利用者の双方に貴重な情報を提供している。

