日本俳優連合、伊藤忠商事、伊藤忠テクノソリューションズの3者は11月14日、声優・俳優をはじめとする実演家の音声を安心・安全に保管・活用する取り組みとして、公式音声データベース「J-VOX-PRO(仮称)」の立ち上げについて覚書を締結した。行政とも連携し、健全な音声ビジネスの発展を目指すという。
実演家の音声を利用管理する仕組みづくり
今回の「J-VOX-PRO(仮称)」立ち上げの背景には、生成AI技術の急速な進展により、実演家の声を模倣した音声コンテンツが無許可で生成・公開される事例が近年増加しており、人格的・経済的権利が十分に守られていない状況がある。
こうした無断利用による損失は、金銭面だけでなく、実演家の信頼や創作活動の継続や品質にも影響を及ぼし、業界全体の健全な発展を妨げる要因となっているという。日本俳優連合は2023年からこの課題への取り組みを開始し、実演家の「声」を知的財産として保護し、正当な対価と利用管理の仕組みづくりを進めている。
「J-VOX-PRO(仮称)」においては、日本俳優連合が運営主体となり、伊藤忠テクノソリューションズが運用環境や適用技術/運営体制の支援を行う。この取り組みにより、日本の文化資産である実演家の声を高品質な音源としてデータベース化することで、将来にわたり安心して活用できる環境を整えるとしている。
「J-VOX-PRO(仮称)」では、法人利用を前提としており、利用希望企業や団体は所定の料金を支払い、合意された用途の範囲で音声データを入手・利用できる。料金や利用条件は、実演家本人やプロダクションとの協議を経て決定される。また、実演家本人の意志表示のデジタル化を進め、利用企業とのマッチングと併せて、音声データには電子透かしや声紋などのセキュリティ技術を適用し、利用時の不正を防止する。
「J-VOX-PRO(仮称)」の特徴
- プロの“声”に特化した公式音声データベース:実演家の正式な意思表示に基づき、信頼性の高い日本語音声データを保管。権利者・利用者の双方が安心して使える公的基盤。数千人規模での収集を想定
- 官民・業界連携による持続可能な運営体制:日俳連・伊藤忠グループ・行政が連携。業界団体×民間×行政による信頼性と継続性を兼ね備えた音声データインフラ
- 不正利用発見時の対応:不正利用事案発見時に、日俳連が実演家をサポート。国内外の不正利用事案に対応。ガイドラインの周知等を行い、予防的措置も推進
- 安心・透明な許諾と利用の仕組み:意思表示DBと契約管理を連動させた、トレーサビリティのある構造。AI時代に求められる“許諾の透明性”と“悪用防止”をシステムと実務の両面で支援
- 商用利用を促進するライセンス&マッチング機能:声を使いたい企業・公共団体・AI開発者と、実演家とのマッチングを支援し、国内外の音声ライセンス市場の拡大と新規需要に対応
データベース化された音声は、当初は国内利用を想定しているが、海外展開を踏まえた世界での活用も推進していくとのこと。日本俳優連合は実演家の権利保護と収益機会の拡大に、伊藤忠商事は権利者と協力した正規の利用による新規事業創出及び海外展開に、伊藤忠テクノソリューションズは「J-VOX-PRO(仮称)」を活用したサービス開発に、それぞれ取り組んでいくとしている。


