Microsoftは11月12日(米国時間)、「Infinite scale: The architecture behind the Azure AI superfactory - The Official Microsoft Blog」において、AIデータセンター「Fairwater」の第2拠点を開設したことを発表した。

これは今年9月に開設したウィスコンシン州のAIデータセンター「Fairwater」に続く拠点で、ジョージア州アトランタに建設された。同社はこれら拠点をAIデータセンターの中核に据え、需要の急拡大が続くAIコンピューティングを地球規模で支える計画だ。

  • Infinite scale: The architecture behind the Azure AI superfactory - The Official Microsoft Blog

    Infinite scale: The architecture behind the Azure AI superfactory - The Official Microsoft Blog

高密度化した電力消費を支える大規模な冷却システム

今回Microsoftはこれまで明らかにしていなかったFairwaterの内部情報を一部公開している。Fairwaterの各拠点は同一設計ということもあり、前回発表した2階建てによる高密度化および閉ループ冷却システムに変わりないが、これら設備のより詳しい情報を明らかにしている。

同社によると近年の最新インフラは「光速」がボトルネックになっており、アクセラレーター、演算処理、ストレージを高密度化する必要があるという。最新のNVIDIA GB200およびGB300 GPUを統合した単一のフラットネットワークで構成されるFairwaterも例外ではなく、この物理法則の克服が課題だったとされる。

課題の克服には、ラックを2階建てにするというシンプルな解決策が採用された。この構造によってラック間距離が縮まり、レイテンシの低減と信頼性の向上を実現、さらに配線コストも抑えられたという。

  • 低レイテンシ、高信頼に加え低コストを実現した2階建てネットワーク配線の束 - 引用:Microsoft

    低レイテンシ、高信頼に加え低コストを実現した2階建てネットワーク配線の束 引用:Microsoft

閉ループ冷却システムは、このラックの高密度化によって増加した熱を効率的に排出するシステムとされる。従来の方式では排熱が間に合わないとして、より高効率の液体冷却システムが採用されている。

発表によるとFairwaterのラックは1台あたり約140kW、1列あたり約1360kWの電力を消費するという。家庭用エアコン1台の消費電力が0.5から2.5kW程度と考えると、その消費電力の大きさがうかがえる。

  • 高密度な電力消費を支える閉ループ冷却システムの配管 - 引用:Microsoft

    高密度な電力消費を支える閉ループ冷却システムの配管 引用:Microsoft

前例のない大規模な世界的需要を支える

Microsoftは近年のAI需要に応えるため、全米各所にAIデータセンター「Fairwater」の建設を進めている。Fairwaterは従来のクラウドデータセンターと異なり、最新のNVIDIA GPUを統合した単一のフラットネットワークによる巨大なAIスーパーコンピューターとして設計されている。

  • 高密度のGPUラック - 引用:Microsoft

    高密度のGPUラック 引用:Microsoft

1拠点の性能は、今年9月の時点で最速のスーパーコンピューターの約10倍と伝えられている。他を圧倒する性能だが、それでも将来の大規模な学習ジョブ(発表時点で数兆個のパラメーターに及ぶ)を支えきれないことが予想されている。そこで同社は各Fairwater拠点間を専用のAI WAN光ネットワークで接続し、単一拠点の能力を超えるAIスーパーファクトリーを構築する計画を進めている。

発表によると2024年は1年間で12万マイル(約19.3万キロメートル、地球約5周分)の光ファイバー網を全米で新たに敷設したという。このネットワークは従来のAIスーパーコンピュータを含める形で接続される。大規模な分散型ネットワークを構成することで、AI利用者(開発者)はAzure AIデータセンターの広範なネットワークを活用できるとしている。

FairwaterはAzure AIデータセンターの中核を担う拠点と言える。同社が推進するCopilotなどのAIサービスの基盤であり、世界のAI需要を支える重要な存在となり得る。ウィスコンシン州に建設された最初の拠点は2026年初頭からの稼働を予定、2拠点目となる同データセンターはそれ以降の稼働開始が見込まれている。