西日本旅客鉄道(以下、JR西日本)とNTT西日本は11月12日、通信用光ファイバーを振動センサーとして活用する光ファイバセンシング技術を鉄道分野に応用するため、共同検証を本格的に開始したことを発表した。
鉄道オペレーションの課題と背景
鉄道の安全安心な運行を維持するためには、運行状況や設備状態を的確に把握することが不可欠だ。従来の鉄道インフラの監視や点検には多くの保守要員が必要とされているが、少子高齢化に伴う労働人口の減少により保守体制の維持が課題となっている。
NTT西日本は光ファイバセンシング技術について多様な現場での展開を目指しており、その技術をJR西日本の鉄道設備に応用することで、少人数でも高精度に常時モニタリングできる仕組みを検討している。
光ファイバセンシング技術の特長
光ファイバセンシング技術は、光ファイバに光を入射し、反射して戻ってくる光の変化を解析することで、変化が発生した場所とその内容を把握する技術。1台のセンシング装置で数十キロメートルにわたる線路沿いの振動を連続的に検知できるため、広範囲かつ高精度な状態把握が期待できる。
また、物理接触が不要なセンシング方法であるため、保守要員が設備に直接触れることなく振動や異常を検知でき、安全性の向上にもつながるという。
基礎研究の概要と成果
共同検証では、下図の環境で線路状態のモニタリングに関する基礎研究を実施した。取得したデータの解析により、列車の走行位置を高精度に検知できることが確認され、光ファイバセンシング技術の有効性を示す重要な知見が得られたとのことだ。

