日立製作所は10月30日、2026年3月期 第2四半期(2Q)連結決算に関する説明会を開催。売上収益は2兆5290億円、親会社株主に帰属する四半期利益は2806億円で増収増益となり、調整後EBITA(Adj. EBITA)は3242億円と2Qとしての過去最高値を達成するなど、事業運営の好調を印象付けた。
エナジーを筆頭に各事業が好調な推移
決算説明会に登壇した日立 執行役専務の加藤知巳CFOは、売上収益(為替影響除く)の成長率が前年同四半期比(以下、前年比)で8%に上ったと説明。Adj. EBITAは前年比で862億円増加し、Adj. EBITA率も向上したとする。また親会社株主に帰属する四半期利益については、前出の指標向上に加えて、空調事業における合弁会社の資本再編により1637億円の増加。この影響もありコアフリーキャッシュフロー(コアFCF)は2001億円まで増加したものの、資本再編による一時的な影響を除いても前年比で増加となっており、売上収益・Adj. EBITA・コアFCFの3指標は当初の社内計画を上回る結果になったという。
こうした成長を牽引したとされるのが、エナジー領域だ。同領域のパワーグリッド事業では、送電網設備の更新や再生可能エネルギー電源接続などの需要が継続的に好調だといい、2Qも増収増益で着地。これを受け年度見通しについては、売上収益1300億円、Adj. EBITAで220億円の上方修正を行ったとした。
またモビリティとコネクティブインダストリーズ(CI)の両セグメントについても、それぞれLumada事業・半導体製造装置事業が好調であることを受け、年度見通しを上方修正。一方のDXやモダナイゼーションに対する需要が堅調国内IT事業を含むデジタルシステム&サービス(DSS)セクターについては、海外での投資抑制の影響から売上収益は下方修正となったものの、ストレージ事業でのコスト削減推進などによりAdj. EBITAは維持したといい、日立連結での年度見通しとしても上方修正を行ったとしている。
各セクターで戦略的な成長投資を実行
なお、AI技術力の強化によってグループ内外でのAI実装支援を行い、Lumada事業を拡大させる役割が期待されるGlobalLogicについては、データアドバイザリーやデータ基盤の設計・構築に強みを有する独・synvertを買収し、近年特に力を入れる“Agentic AI”および“Physical AI”のソリューション開発を強化。AIを活用したデジタルアセットマネジメントサービス「HMAX」の展開加速など、グループ内の各事業セグメントとのシナジーを創出することで、長期的なLumada事業の成長を支えるとした。
日立グループのM&A戦略としては、まずモビリティ分野において、鉄道インフラ監視システムを有する英・Omnicomを買収した。一方でエナジー領域でも、北米地域でのサービス強化に向け、米・Blackstone傘下のBlackstone Energy Transition Partnersとの戦略的提携を開始するとともに、同社が買収した米・Shermcoに出資するなど、各領域での成長投資を実行。加藤CFOは「M&Aの重点分野である“デジタル”と“サービス”に関連した、重要なケイパビリティを強化できた」と語った。
地域別での売上収益で見ると、やはり好調に推移するエナジーと、鉄道信号システムでの受注が堅調なモビリティ領域の牽引により、欧州および北米市場での収益拡大が見られたとのこと。特に欧州ではパワーグリッド事業での大型プロジェクトが進行したこともあり、欧州市場でのエナジーセグメントの売上収益が50%増と大幅に拡大した。一方で中国市場においては、CI領域である昇降機の新設需要が落ち込んだことから、売上収益も減少しているとする。
Lumada事業の順調な拡大をアピール
パワーグリッド事業が好調な推移を見せるエナジー領域に加え、モビリティ・CIでも当初計画の上方修正を行い、グループ全体としても売上収益で2000億円、Adj. EBITAでは1000億円、2025年度の利益としては400億円もの上方修正を行った日立。同社は戦略投資の増額なども織り込んだ上で、各事業の拡大により通期で増収増益になるとの見通しを示す。
また今年度よりシンプルな2区分の見直しを行ったLumada事業について、加藤CFOは改めて「日立連結での8%の売上収益成長率を牽引した」とコメント。前年比47%増とされた同事業の売上収益成長については、事業区分の見直しによって新たに含まれる事業が存在した影響もあるというが、「仮に昨年度と同じ基準に補正した場合でも、この2Qでの売上収益は前年比で20%成長している」と、Lumada事業の順調な成長を強く示した。

