アスクルは10月30日、ランサムウェア被害を受け受注・出荷業務を停止している問題について第3報を公開した。10月29日から医療機関・介護施設を含む一部顧客への実験的な出荷業務を開始。障害の発生した物流システムを使用せず、手作業で対応していることを明らかにした。
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トライアル運用の概要
アスクルはトライアル運用の詳細を「(PDF) 一部商品の出荷トライアル運用の開始について(ランサムウェア感染によるシステム障害関連・第3報)」にて公開した。この出荷作業は手作業にて行われ、コピー用紙など37アイテム(箱単位、ケース品)に限定し、同社の新木場物流センター(東京都江東区新木場)およびASKUL大阪DC(大阪市此花区北港緑地)の2拠点からの出荷に制限して運用されるという。
運用開始時点では、案内を送った医療機関および介護施設を含む一部顧客からのFAXによる注文を受け付けるが、状況次第では顧客および商品を拡大する予定。なお、物流システム(WMS:Warehouse Management System)の復旧のめどは立っておらず、グループ企業のASKUL LOGISTが受託している物流業務(サード・パーティー・ロジスティクス)はトライアル運用の対象外としている。
ランサムウェアの詳細は非公開
アスクルは被害の拡大を防ぐためとして、ランサムウェアに関する詳細情報の開示を行わないと発表した。ただし、個人情報の流出が確認された場合は、速やかに報告する予定としている。
最後に同社の最高経営責任者(CEO: Chief Executive Officer)を務める吉岡晃氏は、「安全性を確認しながら、全社一丸となり、一日も早い完全復旧にむけ全力で取り組んでまいります」と述べ、セキュリティ対策を置き去りにしない安全なシステム復旧を目指す方針を明らかにした。
