NTT東日本グループのエヌ・ティ・ティ エムイー(NTT-ME)は10月22日、コンテナ型データセンター事業に参入すると発表した。ブランド名は「JPDC AI Container」。
AI市場のニーズに短期間で構築できるコンテナ型データセンターで応える
通信キャリア&データセンタビジネス部 データセンタ事業推進部門 部門長 水津次朗氏は、コンテナ型データセンター事業に参入する契機として、AIに対するニーズの高まりを挙げ、次のように説明した。
「各業種におけるAI利用の急激な増加に伴い、AI市場規模は拡大しており、2028年には2.8兆円に達すると見られている。そうした中、AI用の高発熱サーバに対応するデータセンターが求められているが、在庫が枯渇していると言われている」
こうした背景から、データセンターの開設を発表する企業が増えているが、従来のビル型データセンターは構築に4年半程度かかるという。対するコンテナ型データセンターは約1.5年と短期間で構築できるので、早期のサービスインが可能となる。
加えて、水津氏は「データセンターの構築に時間がかかると、完成したときに導入した技術が陳腐化している可能性がある。コンテナ型データセンターなら、最新の技術を容易に導入できる」と、コンテナ型データセンターのアドバンテージを紹介した。
北海道石狩エリアに最初のデータセンターを稼働
第1弾として、北海道石狩市に約5万平方メートルの土地を2025年内に取得し、「JPDC AI Container Village@石狩」と位置づけ、プロジェクトを開始する。1基目のコンテナ型データセンターは最短で2027年4月の稼働開始を計画している。
水津氏は、データセンターの立地として石狩エリアを選んだ理由を次のように説明した。
「国内のデータセンターは東京・印西、大阪に集積しているが、東京・大阪の電力が逼迫してきており、経産省・総務省が進めるワット・ビット連携官民懇談会において、都心から分散する際のデータセンターの中核拠点として北海道・石狩と九州・福岡が期待されている」
また、「北海道バレー構想」の中で産官学が一体となってデータセンターをはじめとする産業誘致が進められているが、石狩エリアはさくらインターネットやKDDIグループなどさまざまな企業によるデータセンターの新設が続いている。北米を結ぶ海底ケーブルも敷設される予定だ。
水津氏は「石狩エリアはホットな場所であり、北海道バレー構想にも貢献したい。他の事業者との協業はIOWNを通じた収益化も見込める」と語った。大容量かつ低遅延を特徴とするIOWNのAll-Photonics Network(APN)により、石狩エリアと都心部等の他エリアとのデータセンターを接続することで、単一のデータセンタと遜色ないオペレーションが可能になるという。
石狩エリアのコンテナ型データセンターの概要
北海道石狩市の約5万平方メートルの敷地は、最大で14基のコンテナ型データセンターが建設可能で、早ければ2032年にもすべてのコンテナ型データセンターが立ち並ぶ見通しとしている。顧客の要件を1基単位で合わせ、申し込みを受けたのちに構築を開始する。
データセンター1基当たりのスペックは、受電容量が2MW、ITロードは約1.5MW最大40ラック、冷却方式はDLCとInRowのハイブリッドとなっている。InRow方式はラック間に冷却機器を置いてピンポイントで冷やすため、環境にも優しいという。
顧客のターゲットはGPUクラウドやSier、製造、大学など需要が見込める国内の事業者で、外資のハイパースケーラーは想定していないとのことだ。
水津氏によると、コンテナ1基の構築に20億円程度かかり(データセンター全体のコストとしては土地代や事務棟なども必要)、1基当たり10億円程度の収益を見込んでいるという。
土地を購入していないNTTデータやドコモビジネスの一歩先にいる
水津氏は、今後の展望として、石狩以外のエリアにコンテナ型データセンターを拡大していきたいと述べた。
また、他のコンテナ型データセンター事業者を支援するため、2026年度にGPU対応のコンテナ型データセンター向けのワンストップソリューションを提供する予定だ。同ソリューションでは、コンテナ型データセンターに関わる土地調査から設計、施工、運用・保守、ネットワークまで一括で対応する。
「コンテナ型データセンターを構築・運用する際、ネットワークまでとなると、他の事業者では難しいと考えている。われわれはNTT東日本グループのエンジニアリングを生かして支援したい」(水津氏)
なお、NTTデータやNTTドコモビジネスもコンテナ型データセンター事業への参入を表明している。この点について、水津氏は「NTTデータやドコモビジネスと切磋琢磨してやっていこうと考えている。ただ、両社はまだ土地を買っておらず、当社は、一歩先にいるので、グループにフィードバックすることを考えている」と意気込みを語っていた。


