普段、スーパーやコンビニでなにげなく手に取っているペットボトルや缶の飲み物。この1本の飲み物を顧客に手に取ってもらうために、マーケティング的な工夫がたくさん施されていることをご存じだろうか?

商品の味や企業のイメージを伝えるパッケージのデザインはもちろんのこと、商品を並べる際の陳列方法やポップのデザイン、多くの人に知ってもらうためのコマーシャルや電車の中吊り広告……

加えて、商品貼付シールを活用したプレゼントキャンペーンといった販売促進も行われている。

今回は、缶などの容器、商品パッケージを撮影するだけで、販促キャンペーン応募のための購買証明を可能にする「AI購買証明 ~SCAN DA CAN~ 」を紹介する。

電通のデータ・テクノロジーセンター AI&テクノロジー開発部 アナリストの平川真一郎氏と、ユニークビジョン 代表取締役社長の白圡良之氏に、「AI購買証明 ~SCAN DA CAN~ 」の詳細を聞いた。

  • 左からユニークビジョン 代表取締役社長の白圡良之氏と電通のデータ・テクノロジーセンター AI&テクノロジー開発部 アナリストの平川真一郎氏

    左からユニークビジョン 代表取締役社長の白圡良之氏と電通のデータ・テクノロジーセンター AI&テクノロジー開発部 アナリストの平川真一郎氏

購買証明における課題

今まで、購買証明としては「シリアルコード」「ユニークQR」「レシート」「JAN」「共通QR」といったさまざまなものが使用されていた。しかし、これらの購買証明には、販促視点とブランド視点のそれぞれにおいて課題が存在するという。

「販促視点では、『新規ユーザー獲得の障壁があるキャンペーンの応募に慣れているユーザーは問題ないが、不慣れなユーザーは応募が手間になる』という課題が存在しています。一方、ブランド視点では、『キャンペーンに応募する時にブランドの価値が伝わりにくく、ブランドの魅力の訴求や好感度獲得に貢献しづらい』という課題があります」(平川氏)

  • 購買証明における課題を説明する平川氏

    購買証明における課題を説明する平川氏

これらの課題の解決に向けて、電通が独自開発したソリューションが「AI購買証明 ~SCAN DA CAN~ 」だ。

購買証明にユーザーの体験価値を提供する「SCAN DA CAN」

SCAN DA CANは購買証明にユーザーの体験価値を提供するために生まれたソリューションで、特許を取得した「容器特有の個体値」に基づきユニーク判定をするAIモデルを実装しており、商品を撮影するだけで、キャンペーンへの応募を実現する。

従来の販促キャンペーンでは、商品に貼られたシールをハガキに貼って送付したり、レシート写真をアップロードしたりするなどの作業が必要だったのに対し、「SCAN DA CAN」を活用することで、缶などの容器や商品パッケージをスマートフォンで撮影するだけで応募ができるようになったという。

  • SCAN DA CANの概要スキーム

    SCAN DA CANの概要スキーム

平川氏は、このSCAN DA CANを販促に活用することで「『応募者属性の広がり』という効果が期待できる」と説明する。

「従来のレシートキャンペーンでは、40~50代の女性を中心としたキャンペーンラバー層からの応募が中心でしたが、SCAN DA CANを導入したキャンペーンでは、30代~40代の男性からの応募の割合も増える結果になりました。また、参加者のアンケートから『毎日、夫と一緒に飲みながら“写メ”することで夫婦の会話が増えた』『撮影のコツをつかむ過程が楽しい』『楽しい日課になった』など、好意的な意見が多く、ブランドへの好意的な印象を醸成できたと実感しています」(平川氏)

この要因について平川氏は「SCAN DA CANを活用することで、消費している缶や容器をそのまま撮影するだけで気軽に参加ができること。また、レシートなどは捨ててしまう人もいるが、必ず缶や容器は手元に残るため誰でも応募できる点が良かったのではないか」と説明。新規層の拡大にも寄与している実績を話していた。

  • SCAN DA CANで応募者属性も広がっている

    SCAN DA CANで応募者属性も広がっている

さらに、平川氏曰く「SCAN DA CANが『参加規模/継続率の向上』にも貢献している」とのこと。従来のキャンペーンと比較して、参加規模が増加したほか、1人当たりの応募回数も向上しているという。

4社との連携でさらなる可能性を見いだす

そして2025年6月に電通は、この「SCAN DA CAN」を刷新したことを発表した。

今回の刷新では、クライアントの多様な課題に応えるべく、AI・テクノロジーの関連企業である、ユニークビジョン、ライフログテクノロジー、セガ エックスディー、SUSHI TOP MARKETINGの4社が提供するサービスと連携した。

この連携により、スピーディにデジタル販促キャンペーンを実現するプランや、食べ合わせの食事分析機能などを新たにリリースした。

ユニークビジョンとの連携

キャンペーンサイトや演出をフルカスタムで設計可能な「SCAN DA Premium」と、ブランド判定のみを搭載した「SCAN DA Brand」の2つのプランに加え、ユニークビジョンとの連携により、新たに「SCAN DA Light」の提供を開始した。

「『SCAN DA Light』では、「容器特有の個体値」に基づきAI判定するユニーク判定と商品ブランドの判定はそのままに、ユニークビジョンが提供する『Belugaキャンペーン』のテンプレートを活用することで、キービジュアル、画像、テキスト、背景色などLPをクライアントのブランドやキャンペーンに合わせて柔軟にアレンジすることができます。また、応募者管理や必要に応じて事務局対応もできますので、これまでよりもスピーディかつ安価にワンストップでのキャンペーンを展開することが可能になります。さらに、体験を1回だけのもので終わらせるのではなく、連続的かつ長期的に生活者との関係性を発展させていくためにCRMも用意しており、参加頻度に応じてメッセージを出しわける、といったことも実現可能です」(白圡氏)

  • 「SCAN DA Light」について説明する白圡氏

    「SCAN DA Light」について説明する白圡氏

「SCAN DA Light」の登場で、生活者とブランドの関係性がより深まるようなブランド体験を、スピード感やコストの両面からより手軽に行えるようになったため、これまで以上に多様なキャンペーンに対応していきたいという。

  • 「SCAN DA CAN」のプラン

    「SCAN DA CAN」のプラン

ライフログテクノロジーとの連携

さらに、ライフログテクノロジーが提供する健康管理アプリ「カロミル」の画像解析AIとの連携を開始。

撮影と同時に背景にある食事をAIが解析することで、食事の食べ合わせが判別できるようになり、スキャンされた商品の消費実態をより解像度高く捉えた分析を行うことが可能になった。

また、この分析結果を小売店における棚づくり施策に反映したり、食べ合わせキャンペーンに活用(例:炭酸飲料と唐揚げ)したりすることもできる。

セガ エックスディーとの連携

セガ エックスディーとの連携では、同社が提供するCRM向けゲーミフィケーションサービス「GameBox」をオプションとして利用することにより、ゲーム制作費を抑えた形でクオリティの高いオリジナルゲームの実装が可能になった。

これを販促施策に生かすことで、生活者のエンゲージメントや応募者のロイヤリティ向上を図っていきたい考えだという。

SUSHI TOP MARKETINGとの連携

「SUSHI TOP MARKETINGのサービスとの連携により、キャンペーン応募に応じてデジタルスタンプ(NFT)を応募者に付与するロイヤリティプログラムを展開します。同社が得意とする『ファンの行動を起点にしたマーケティング設計』や『体験の可視化・分析基盤』を生かして、単発の販促施策にとどまらず、ファンが自ら関与・回遊したくなるような継続的な関係性を構築していきます」(平川氏)

そして今後は、4社との連携を続け、最先端の技術を活用することで、より高度なデータ活用と、中長期のファンづくりに必要な今までにない顧客体験を実現していきたいという。

最後に平川氏は「クライアントの商戦期における戦略商品の短期的な売り上げを増やす従来の『販促』において、今後は、長期のブランドファン(長期的な売り上げ)を増やすことも期待されている」と述べた上で、「キャンペーンごとに使われるフロー型の仕組みとしての進化とともに、日常的に使われるストック型の仕組みへ進化させていきたい。その結果、イベントなども含めた対応領域の拡大、グローバル展開、SCAN DA CAN特有のデータ活用によるパーソナライズドマーケティングの推進を進めていく」と今後の展望を語ってくれた。