NTTドコモビジネス(旧 NTTコミュニケーションズ)は9月30日、自律・分散・協調型社会を支える「産業・地域DX(デジタルトランスフォーメーション)のプラットフォーマー」として持続的な価値を提供するための成長戦略について、記者説明会を開催した。
代表取締役社長の小島克重氏は、2025年の具体的な成長戦略として「プラットフォームの進化」「重点4領域の事業強化」「パートナーリング強化」の3点を挙げた。
小島氏は講演の冒頭、「4月の社名変更を経て、当社のチャレンジは次のステージに入る。長距離通信の会社として発足したNTTコミュニケーションズは、グローバルな総合ICTソリューションプロバイダーとなった。NTTドコモビジネスではモバイルやソフトウェアを超えて、さらに進化した価値あるソリューションを、大企業のみならず全国の中堅・中小企業にも届けていく」と述べ、次のステージへの意気込みを見せた。
2025年第1四半期は次のステージに向け順調なスタート
NTTドコモがNTTコミュニケーションズおよびエヌ・ティ・ティ・コムウェアを子会社化し統合した2022年以降、中堅・中小企業向けのソリューションはモバイルを中心に競争が激化している。
同社は市場の見直しを図り、セグメントマーケティングに注力した結果、自治体や中小企業向けに展開するGIGAスクールやドコモビジネスパッケージが好調で、売上が上向きだという。
2025年度第1四半期の業績を振り返ると、営業収益は前年同期比257億円(6.0%)増の4560億円、営業利益は同71億円(10.3%)増の758億円だった。昨年までマイナス成長を記録していた中堅・中小企業セグメントの収益は、4%増とプラスの成長を遂げている。
2025年度の法人セグメント収益目標である2兆円の達成に向け、堅調なスタートとなった。小島氏は「競合他社と比較しても、そん色のない成長ができている」と振り返った。
同社は1999年に長距離通信事業でNTTから分社化して以来、インターネットやVPNなど通信・コミュニケーション分野で価値を提供してきた。2010年代以降は、クラウドやデータセンター、セキュリティなど、通信・コミュニケーションを取り巻く新たな領域へ事業を拡大している。
さらにその後は、IoTをはじめビッグデータ活用の需要が高まったことから、同社はデータの収集から蓄積、管理分析などデータ利活用に必要な機能を備えるプラットフォーム「Smart Data Platformを」提供開始。サプライチェーンを超えたデータ流通と利活用を支えてきた。
今後は、AIが中心となり豊かな社会を支える未来の実現に向け、AIとAIを支えるICTプラットフォームで価値を届けることで、同社は「産業・地域DXのプラットフォーマー」としての地位を確立するという。
「今まで積み上げてきた提供価値は、AI時代に最適化した産業・地域を支える基盤となる『AI-Centric ICTプラットフォーム』として提供していく」(小島氏)
成長戦略その1:プラットフォームの進化
AI時代の通信を支えるAI-Centric ICTプラットフォームの核となるのは、NaaS(Network as a Service)だ。SD(ソフトウェアディファインド)化されたネットワークの特徴を生かして、NaaSでは必要なときに必要な帯域のネットワークを柔軟に使用できる。同社のネットワークは分単位での使用が可能だという。
また、EDR(Endpoint Detection and Response)のようなセキュリティソフトをインストールできないIoT機器やネットワークカメラでも利用できるよう、このプラットフォームではネットワーク内で異常な通信を検知し遮断できる仕組みを提供する。
その他にも、固定やモバイル、IoTなど、多様な回線へも対応可能な通信を実現。MEC(Multi-access Edge Computing)やエッジをはじめ、ロボットや自動運転に必要なネットワークを提供するという。加えて、主要なSaaSともセキュアに接続するほか、GPUなどもas a Service型で提供する。
さらに、今後需要が拡大すると見込まれる分散型のデータセンターにも対応。コンテナ型のプライベートAIデータセンターを全国に設置可能とのことだ。今後は、顧客のICT全体をサポートするため、AIOps(AI+Operations)やFinOps(Finance+DevOps)などAIを活用してITの運用・コストを効率化する仕組みも実装する予定だ。
「私たちはNTTグループの最先端技術を結集して、これからの未来社会の基盤となるよう、AI-Centric ICTプラットフォームを事業の柱として進化させていく」と、小島氏は説明した。
成長戦略その2:重点4領域の事業強化
小島氏が挙げた成長戦略の2つ目は、特に需要の高い「AI」「IoT」「デジタルBPO」「地域・中小DX」の4領域の事業強化だ。これらの各領域は、同社の事業成長を支えるためのドライバーにも位置付けられている。
AIではNTTグループのLLM(Large Language Models:大規模言語モデル)「tsuzumi」に加え、AIを活用するためのI-Centric ICTプラットフォームを展開する。「AIソリューションからAIに最適な基盤のプラットフォームまで、一気通貫に提供できるのが他社にない強み」(小島氏)とのことだ。
IoTの領域では、セキュリティ機能を標準搭載し安価に利用可能な通信基盤である「docomo business SIGN」を12月に提供開始する。また、SIMアプレットを活用したセキュリティ機能も、好評だという。
デジタルBPO領域では、トランスコスモスとの戦略的事業提携を起点に、業務BPO、コンタクトセンター、コーポレートバックオフィス、アイデアソーシングの4分野で具体的なソリューションを提供開始している。12月には、AIで顧客接点をトータルで支援する「docomo business ANCAR」を提供開始予定だ。
地域・中小DXにおいてはモバイル事業で法人向けのニーズに対応し、顧客基盤を強固なものにする方針だ。今年9月には、法人向けの新料金プラン「ドコモBiz かけ放題」および「ドコモBiz データ無制限」を開始した。その他、生成AIサービス「Stella AI for Biz」や、ローンサービス「BUSINESS LOAN」など、中堅・中小企業の多様な課題に対応するサービスを多面的に展開する。
これらの重点4領域をそれぞれ拡大することで、2024年度時点で約2500億円の収益から、2027年度には2倍となる5000億円規模のビジネスへと成長させるとのことだ。
成長戦略その3:パートナーリング強化
事業成長に重要なパートナーリングは、機能的な強化を図るためのパートナーリングと、販路を拡大するためのパートナーリングの2つの方向がある。
デジタルBPOにおけるトランスコスモスとの業務提携や、AI事業におけるエクサウィザーズとの資本業務提携は、前者に相当する。パートナー企業との連携を強化し、上記の重点4領域を中心にソリューションやサービスの高度化と付加価値の向上を目指す。
一方、販路を拡大するため、ドコモビジネスパートナープログラムを通じ、既存のパートナー企業との連携を強化するとともに、新規のパートナー企業と連携も拡大して新規顧客へのリーチ拡大を狙う。
小島氏は講演の終盤、「当社はAI時代に最適化されたAI-Centric ICTプラットフォームを基盤として、さまざまな産業や地域が抱える多様な課題をDXソリューションで解決し、驚きと幸せに満ちたサステナブルな社会を実現したい」と述べていた。






