日本マイクロソフトは9月10日、大阪市で「Microsoft AI Tour Osaka」を開催。その中で大阪府とともに、生成AIとAIエージェントの活用を通じた府民サービスのさらなる充実を目指す新たな取り組みを開始することを明らかにした。両者は2023年9月に「大阪府と日本マイクロソフトとのAI利活用に関する協定」を締結しており、AIエージェントの開発・導入に加え、府民および大阪府職員を対象にAIスキル習得の機会を提供する。

  • 左から日本マイクロソフト 代表取締役社長の津坂美樹氏、大阪府知事の吉村洋文氏

    左から日本マイクロソフト 代表取締役社長の津坂美樹氏、大阪府知事の吉村洋文氏

大阪府×日本マイクロソフトの取り組み

同イベントの基調講演におけるテーマは「Becoming Frontier AI - AIで実現するフロンティア組織への進化とビジネス変革」だ。

冒頭、日本マイクロソフト 代表取締役社長の津坂美樹氏が登壇し「現在、当社の生成AIやCopilotは日経225の企業のうち85%が利用している。数年前は金融や通信、小売りなど情報量が多い企業に活用してもらっていたが、今や製造業、ヘルスケアに至るまで各業界のニーズをふまえたユースケースが開発され、AIの効果を感じてもらっている」と述べた。

  • 津坂氏

    津坂氏

津坂氏に促されて登壇した、大阪府知事の吉村洋文氏は「生成AIは非常に高い可能性を持っている。可能性だけではなく現実になっており、今後は生成AIを活用できない組織は淘汰されていくのではないか?それぐらい生産性を高めるものだと感じている。行政に置き換えて考えれば、いかに生産性を向上させるかだ。行政で生成AIを活用しないとこは、税負担が増えて行政サービスの質も下がる。生成AIを活用することで多くの住民サービスを的確に提供できる社会になるだろう」と話す。

今回、両社は「AIエージェントを活用した行政サービスの高度化支援」「女性向けAIスキル習得支援プログラムの提供」「大阪府庁での生成AI活用強化を『アドバイザー』として支援」の3つの取り組みを進めていく。

AIエージェントを活用した行政サービスの高度化支援では、これまでもAIを活用した住民サービスや庁内業務の効率化に取り組んできたが、行政案内や相談対応、多言語対応などへのAIエージェントの試験導入に加え、将来的にはリアルタイムで集めた住民の声をもとに施策を検討するなど、高度な活用も検討。

また、大阪広域データ連携基盤(ORDEN)と連携し、人とAIが協働するための基盤づくりを進め、マイクロソフトは技術支援を行い、大阪府では「AIエージェント実証コンソーシアム」を年内に立ち上げる予定だ。

女性向けAIスキル習得支援プログラムの提供について、マイクロソフトはこれまで国内パートナー企業と協力しながら、個人や企業、団体、開発者など多様な層に対してAIスキル習得の機会を提供してきた。

今回、大阪府が展開する「にであうトレーニング」の枠組みのもと、AIスキルを学べる無償プログラム「Code; Without Barriers(コードウィズアウトバリアーズ)」を提供する。同プログラムは「AIを使う」「AIを創る」の2コースで構成し、就業中や求職中の人がAI時代に対応した実践的なスキルを身につけることができ、9月10日に提供を開始した。

大阪府庁での生成AI活用強化に関しては同府が今月に新設した「庁内生成AIアドバイザー制度」の枠組みをベースに、マイクロソフトの社員がアドバイザーとして、庁内での安全・効果的な生成AIの活用推進を支援。人材育成の一環として、実務現場での生成AI利活用の定着と拡大に貢献していく考えだ。

95%の職員が生成AIを活用

吉村知事は「2023年に協定を締結し、高齢者のコミュニケーションサービスを皮切りに、Microsoft Azure OpenAI、Teamsなどによるシステムの向上に加え、95%の職員が文章作成やアイデア出し、調べものといった業務に活用している。生成AIは大阪だけではなく、全国の自治体、政府も含めて、いかに生産性を高めるかが重要になるツール」と位置付けている。

  • 吉村大阪府知事

    吉村大阪府知事

また、続けて「古い政治家により政策が実行されており、最適化されていない。本当の意味で国民や住民の方の悩みや課題を抽出してAIで分析を行うなど、政治家が最終的に判断する前提のものを生成AIで対応できると考えている、また、窓口業務をAIエージェントで代替することも可能であり、ここを目指していくべきだと思っている」と力を込めていた。