富士通は9月9日、2025年度を最終年度とする中期事業計画の進捗状況と、その先の持続的な成長に向けた事業戦略について紹介するイベント「IR Day 2025」をオンラインで開催した。本稿では、執行役員副社長 CTOのVivek Mahajan(ヴィヴェック マハジャン)氏が語った同社の成長を支えるテクノロジー戦略を紹介する。
富士通がFujitsu Uvanceやモダナイゼーションなどの戦略を展開できるのは、テクノロジー基盤あってこそだ。同社は「Fujitsu Kozuchi」「コンバージングテクノロジー」「データ&セキュリティ」「コンピューティング/量子」「ネットワーク」を5つのKey Technologyと定めている。これらのうち、Mahajan氏はAIプラットフォーム、プロセッサ(FUJITSU-MONAKA)、量子コンピュータを取り上げた。
AIは機密性を求めるエンタープライズ向けに展開
まずは、AIから紹介する。同社はAI戦略において、特にエンタープライズに特化したAI技術の提供に注力する。中でも、防衛、行政、ヘルスケア、金融、製造など、機密性が高いデータを扱う業種がターゲットだ。
AI基盤「Fujitsu Kozuchi」の開発ロードマップにおいては、業務に特化したLLM「Takane」開発と、AIエージェントの実装を進めるという。また、AI活用を支えるためのLLMスキャナやガードレールといったセキュリティ技術も研究開発を進める。
これらと並行して、フィジカルAIの開発も進める予定だ。センサーやロボットにAIを活用して、工場や店舗などの業務を支える。
「AI開発のロードマップを確実に実行し、毎年のように大きな進化を果たせるよう挑戦していきたい」(Mahajan氏)
2027年度に2ナノの国産プロセッサ「FUJITSU-MONAKA」リリース
AI開発ロードマップを下支えするのが、同社が開発を進める国産プロセッサ「FUJITSU-MONAKA」だ。
Mahajan氏はその特徴について「コンフィデンシャルコンピューティング、低消費電力、CPUとGPUの組み合わせによるAIに適したパフォーマンスを提供する。2027年にリリース予定」と紹介した。
同社はFUJITSU-MONAKAの開発を促進するため、戦略的技術連携を進める。その取り組みとして、Supermicroとの協業を開始したほか、「富岳NEXT」の基本設計受注、AMDおよびNVIDIAとの協業を強化しポートフォリオを拡大している。
これらのエコシステムを通じて、AIと同様に機密性の高い情報を扱う防衛や行政、一部金融機関などをターゲットとしたサービス展開を図るという。また、低消費電力の特徴を生かし、高い電力効率が求められるデータセンター向けにも展開する。
2027年に2ナノメートルプロセスでリリース予定のFUJITSU-MONAKAだが、2029年には1.4ナノメートル、2031年にはCPUとNPUを混合した最先端プロセスノードの提供を予定している。「ReasoningとInferenceにおいてAI業界をリードしたい」とMahajan氏は語った。
量子コンピュータ分野でもブレイクスルーにむけ研究を加速
同社のもう一つの注力分野が、量子コンピュータ。この分野でもロードマップを定めており、2030年度に1万量子ビットおよび250論理ビットの超伝導量子コンピュータ、2035年度に1000論理ビットの超伝導量子コンピュータをそれぞれ実現するとしている。
これと並行して、ブレイクスルーに向けた技術開発としてFTQC(Fault-Tolerant Quantum Computer:誤り耐性量子コンピュータ)やSTARアーキテクチャ(Space-Time efficient Analog Rotation quantum computing architecture:高効率位相回転ゲート式量子計算アーキテクチャ)、ダイヤモンドスピン、量子アプリケーションの研究も進める。将来的にはHPCと量子技術の組み合わせにも挑戦する。
2035年度には市場規模が累計で約4兆円に達するとの予想もあり、特にMaterial Discovery(材料探索)、product development(製品開発)& engineering、process simulation、secure collaborationなどをグローバルのターゲットに展開する。
「AI、コンピューティング、ネットワークをすべて手掛けてきたのが当社の強み。これら3つの領域を組み合わせて、お客様の成長を支えていけたら」(Mahajan氏)







