Windows Centralの記者Richard Devine氏が、「Why the terminal is my happy place for writing」において、Windows環境のライティングツールとしてWordのようなワープロアプリではなくターミナルベースのエディターにこだわる理由を綴っている。

高機能なアプリではなくあえてターミナルを使うメリットはどこにあるのだろうか。

  • Why the terminal is my happy place for writing|Windows Central

    Why the terminal is my happy place for writing|Windows Central

集中できる執筆環境の極意

Devine氏はターミナルにこだわる最大の理由を「邪魔が入らず、集中して仕事ができること」と説明。そこにはテキストだけしかないので、文章を書くこと以外に意識が取られる心配がないからだという。それでは、テキストだけのターミナルでどのようにライティング環境を整えているのだろうか。記事では「Neovim」と「Microsoft Edit」という2つの選択肢を取り上げている。

NeovimはVimを拡張したオープンソースのテキストエディターで、シンタックスハイライトやMarkdownサポートなど、拡張機能によってさまざまな用途に対応したカスタマイズができる。Linuxユーザーの中にはノーマルなVimの代わりにNeovimを愛用している人も多い。NewvimにはWindows版もあり、Windowsターミナル上のテキストエディターとしてLinux同様に使うことができる。ただし、Windows版のNeovimはクリップボードとの連携が弱く、コピー&ペーストが使いにくいという難点があるという。

そのNeovimの代替候補となるのがEditだ。Editは今年5月にMicrosoftがリリースしたコマンドライン向けのテキストエディターだ。Windowsターミナル上で使用でき、マウス操作もサポートしている一方で、すべてのメニューにキーボードショートカットのみでもアクセスできる点が大きな特徴。シンタックスハイライトや拡張性などはまだ十分ではないものの、Vimのような特殊なキー操作を覚える必要がないので、ターミナル初心者でも使いこなすことができる。

Devine氏は、ターミナルベースの執筆環境にあわせて、PowerShellを使った効率的なファイル操作も整えているという。新規ファイル作成もエイリアスで即座に行えるよう設定してあり、キーボード中心の操作感が生産性に直結すると主張している。

万人には勧められないが……

筆者自身、長年にわたってFreeBSD上のVim環境で原稿を執筆してきたので、Devine氏の主張には納得できる部分もある。実際、キーボードから一切手を離すことなく作業ができるというのは、集中力を保つ上できわめて重要だ。しかし、いくらNeovimやEditが十分な機能を提供してくれるといっても、やはり多くの人に勧めることができる環境とは言い難い。

Devine氏自身も、この環境が万人向けでないことは認めつつ、執筆スタイルにこだわりを持つ人にこそ試してほしいと語っている。NeovimとEditは、いずれもWindows Package Managerを使ってコマンドラインか簡単にセットアップできる。Linuxなどでターミナ操作に親しんだことがあるユーザーであれば、作業効率の向上につなげられるかもしれない。