映画『国宝』が興収100億円を突破、実写映画で22年ぶり

日本文化の歌舞伎を題材に 上映時間3時間で描く

 東宝は、映画『国宝』の観客動員数が公開73日間で747万人、興行収入は105億円を突破したと発表した。1000億円を突破した邦画映画では、2003年に公開した『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(興収173.5億円)以来22年ぶりの快挙で、『南極物語』(1983年公開、興収110億円)に次ぐ3位の成績。

 これまで日本の映画業界は20年余、邦画作品でずば抜けて興行収入を上げた作品は少なく、映画興行は昨今のアニメ作品人気に大きく支えられていた。邦画実写映画は10億円を超えればヒット作と言われてきたが、今回はそれを遥かに超える歴史的なヒットを呼び起こし、映画業界に激震を与えている。

 物語は、歌舞伎役者の一生を描く、3時間の大作だ。歌舞伎舞台の演目シーンが丁寧に描かれており、「映画で歌舞伎を観た気分になれた」「実際、歌舞伎を観てみたくなった」という口コミも多い。松竹関係者も「(『国宝』の)影響なのかはわからないが、夏の公演業績は好調」と話す。

 本作では歌舞伎の演技が多かったものの、重鎮の大物俳優ではなく、いまをときめく実力派若手役者(吉沢亮、横浜流星など)が演じたこともあり、若い世代も映画館に足を運んだ。俳優たちの稽古で磨いた演技力の高さが評価され、初日アンケートでは満足度97.2%(TOHOシネマズ調べ)を記録した。

 一般的に歌舞伎公演の客層は中高年が多いが、若年層にも映画の影響で歌舞伎への関心が高まれば、日本文化の振興にも繋がる。今後フランス、スイス、オランダ、韓国、香港、台湾などの海外上映も予定されていることから、世界でどんな反応があるか期待がかかる。日本文化への関心が高まれば、更なるインバウンドの盛り上がりにも繋がる可能性も高い。

 これまで日本人にもある種敷居の高かった歌舞伎の世界。興味関心がなかった層も歌舞伎の世界を知り身近になれば、歌舞伎業界に大きな風穴を開けることになる。東宝の直近のヒット作であり昨年アカデミー賞を受賞した『ゴジラ︱1.0』に続き、世界に通用する作品となるか。邦画映画の地位向上となる希望の作品となりそうだ。