豊田中央研究所は8月28日、トヨタ自動車と共同で、植物バイオマスの非可食部から効率よくエタノールを生産できる発酵プロセスを開発し、セルロース/ヘミセルロースからエタノールへの理論的な変換効率を95%以上にまで高めることに成功したことを発表した。
“トヨタ酵母菌”の能力を最大化し高効率を実現
植物などの生物資源(植物バイオマス)を原料とするエタノールは“バイオエタノール”と呼ばれ、化石燃料の削減と温室効果ガス排出の低減に貢献する持続可能なカーボンニュートラル燃料として注目されている。このバイオエタノールは、酵母菌などの微生物が糖(グルコース)を発酵させることで生産されるものであるが、サトウキビやトウモロコシなどの可食部に含まれるデンプンや糖を原料として製造される第一世代バイオエタノールは、変換効率が高く生産が容易である一方で、食料との競合などといった懸念も指摘されている。
そうした中で注目が高まっているのが、非可食部に多く含まれるセルロースやヘミセルロースを原料とする、第二世代バイオエタノールだ。このエタノールは、農林業の廃棄物や、食用作物の栽培には適さない土地で育てた植物などを有効活用して生産できることから、第一世代に比べてさらに環境負荷を低減できると考えられているという。
ただし、第二世代バイオエタノールの原料とされるセルロース系原料は、そのままだと酵母菌が発酵に利用できないため、前処理により酵母菌が利用できる形に変換するプロセスが必要となる。しかしこの時生産される一部の糖(キシロース)は酵母が利用できず、また前処理の過程でも発酵阻害物が産生されるため、生産効率の面で課題を残していたとする。
これらの課題に対し、豊田中央研究所とトヨタ自動車は共同で、キシロースを利用でき、かつ発酵阻害物に対する体制も併せ持つ酵母菌として、同社技術を使って開発した「TOYOTA XyloAce」(トヨタ酵母菌)を開発。その開発を通じ、第二世代バイオエタノール生産技術の確立に取り組んできたという。
トヨタ酵母菌は元々、通常の酵母が利用できないキシロースを高効率でエタノールに変換できることや、発酵阻害物に対する耐性を持つという特徴があるが、植物バイオマスの種類に応じて最適化することで、さまざまな植物バイオマスに対し高効率なエタノールを生産できる可能性があるとされる。
そこで今般両社は、植物バイオマスとしてソルガムなどの非可食部を活用した第二バイオエタノール生産において、トヨタ酵母菌の性能を最大化する発酵プロセスを開発したとのこと。同酵母菌に合わせて植物バイオマスを前処理・糖化することでその性能を最大限に引き出すことに加え、植物バイオマス非可食部から、特に高いエタノール変換効率や発酵阻害物耐性を示す菌株をスクリーニングし、独自の育種技術によってその性能をさらに高めたとする。
こうした発酵プロセスの最適化により、特定の植物バイオマスの非可食部に含まれるセルロース/ヘミセルロースを分解して得られるグルコース/キシロースからの理論的なエタノール変換効率において、世界トップレベルとなる95%以上という結果を達成したとした。
なお今回の成果は、2024年11月に竣工した次世代グリーンCO2燃料技術研究組合のバイオエタノール生産研究技術所にて活用されているとのこと。さらに今後も、植物バイオマスを高効率で第二世代バイオエタノールに変換することで、持続可能なエネルギー生産に貢献し、カーボンニュートラル社会の実現に寄与することが期待されるとしている。
