ハピネスプラネットと日立製作所(以下、日立)は8月26日、複数のAIエージェントが議論し、自律的により深い洞察や創造的な視点を生み出す自己成長型の生成AIを共同開発したことを発表した。
ハピネスプラネットは両社が開発した生成AIを活用した自己成長型AIサービス「Happiness Planet FIRA」(FIRA:フィーラ)を提供開始する。同サービスは各専門分野に特化した600種類のAIエージェントが自律的に議論し、利用者固有のデータに頼らず個別の経営課題に合わせた洞察や創造的な選択肢を生成できるという。
人の思考を拡張する知の増幅器(Intelligence Amplifier)として、経営計画策定やIR対応、新規事業構想、営業戦略策定、経営会議の質の向上など複数の経営シーンで活用可能とのこどだ。
課題とサービス開発の背景
経営や企画の現場ではリスク管理や投資判断、人材育成など正解のない課題に日々直面している。こうした課題に対応するためには、単なる情報整理を超えて会社固有の状況に即した洞察や創造的な視点が求められる。
しかし、従来の生成AIでは、事前学習データの範囲を超えた深い洞察や、利用者固有の課題に合わせた創造的な視点を生み出すことが難しく、一般的な回答にとどまっていた。また、こうした課題に対し、生成AIに自社の過去データを取り込むRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)のような試みも行われているが、過去のデータを参照するだけでは未来に向けた創造的な示唆は得られにくい。
FIRAの特長
ハピネスプラネットと日立は、追加学習データが不要で、利用者が抱える経営課題に合わせその場で深い洞察や創造的な視点を生み出すAI技術を検討し、固有の事情に即した創造的な回答を出力する技術を開発した。
FIRAは利用者の思考プロセスに多様な視点を与え、人の知や構想を拡張する知の増幅器となるよう設計したという。FIRAは経営や企画の現場で意思決定の質を高め、創造性を最大化する知的パートナーとして、経営計画策定時の新たな論点や視点の提示、経営課題への多角的提案、新規事業・研究開発・営業の構想段階での壁打ち、人材・リーダー育成支援などを支援する。
自己成長するAIエージェント「異能」
囲碁のトップ棋士に勝利するAIの実現には、当初は人の棋譜データを用いた学習が必要だった。しかしその後、事前データに頼らずに試行錯誤により自ら成長するAI技術が開発された。しかし、ルールや制約があいまいな現実のビジネス課題には、同様のアプローチを適用することは難しい。
日立はこれまで、ブランコや鉄棒をするロボットや、サプライチェーンの最適化に特化して自己成長するAIエージェント技術などを開発してきた。今回はLLMを用いた自己成長エージェント技術を新たに開発し、汎用的な課題に適用できるようにしている。
FIRAではLLMを活用した自己成長するAIエージェントを「異能」と呼ぶという。専門的な視点や独自の思考パターンを持つ異能たちが、利用者が入力したテーマや課題に沿って自律的に意見や提案を出し合い議論する。
さらに、司令塔となるファシリテーターが議論の方向や場の盛り上がり、感情、発言者や発言の順序や長さなどを調整することで、異能たちがときに刺激し、ときに対立し、ときに協調し合うことで、問いと思考をブラッシュアップして自己成長する。
従来の生成AIとは異なり、一般論や常識的な回答を超えて経営計画の策定やIR対応、新規事業構想などさまざまな経営課題に対応できるようになったとのことだ。

