パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)は7月30日、2025年度第1四半期(1Q)の決算を公表。前年同期比で売上高は89%と減収となったものの、パナソニック オートモーティブ(PAS)の非連結化影響を除くと前年比102%の増収だとしたうえで、営業利益は前年比104%の増益となったことを明らかにした。

  • パナソニックHDの決算説明会

    パナソニックHDの決算説明会の様子(出所:パナソニックHD)

全セグメントで増益となるなど堅調な成長に

決算概要の説明を行ったパナソニックHD 取締役/執行役員の和仁古明CFOによると、1Qの売上高は1兆8967億円で、前年比では89%の減収に。その要因としては、車載電池の原材料見合いの価格改定などが挙げられるという。一方で、パナソニック インダストリー(PID)およびパナソニック エナジーの生成AI関連領域や、パナソニック コネクトのプロセスオートメーション領域などで増販により、PASの影響を除くと前年比102%の増収に至ったとする。

  • 2025年度1Qの連結業

    2025年度1Qの連結業績(出所:パナソニックHD)

  • 2025年度1Q 調整後営業利益のセグメント別増減要因

    2025年度1Q 調整後営業利益のセグメント別増減要因(出所:パナソニックHD)

また営業利益および調整後営業利益については、米国関税やPASの非連結化影響を含めても増益を達成。特に調整後営業利益の面では、くらし事業での欧州市場の回復や国内電材の増益などが影響し、全セグメントで増益となったという。また純利益については、営業外損益は悪化したものの、法人所得税費用の良化により増益に至ったとしている。

セグメント別でみると、くらし事業で堅調な収益成長を達成するとともに、コネクトがプロセスオートメーションや現場ソリューション、そしてブルーヨンダーの増販などにより266億円の増収に。また生成AI市場の拡大に伴い、サーバなどの情報通信関連製品を取り扱うPID、データセンタ向け蓄電システムを提供するエナジーも200億円規模の増収を達成した。

営業利益の面では、戦略投資やインフレ影響による固定費の増加が120億円だとしているが、その中には現在取り組まれている「グループ経営構造改革」による固定費削減効果の21億円を含むものだとする。また米国関税や為替の影響によるマイナスがあったものの、全体では31億円の増益となった。

米国関税の影響は「当初よりも小さいと想定」

なお和仁古氏によると、現時点において2025年度連結業績の見通しに変更は加えていないとのこと。ただし米国関税影響については、時間をかけて今後の動向を見極める必要があるとし、年間見通しには織り込んでいないとする。特に影響が大きい領域としては、コネクトによるアビオニクスの機内エンターテイメントシステム、およびエナジーによる車載電池の部材・セル、産業・民生の蓄電システムが挙げられた。

  • 2025年度の連結業績見通し

    2025年度の連結業績見通し(出所:パナソニックHD)

和仁古氏は、2025年度期初には「米国関税による影響は年間売上高のうち1%以内に収まる見込み」と発表していたことについて、日々情報が変動する中での現時点での分析と前置きしたうえで、「当初の想定よりも影響は小さくなると想定している」とコメント。そして今後は、実際の関税率の変動を受けて対策をアップデートし、「対策を各事業で議論し、定量的にお伝えできる段階になってから、正式にお知らせしていく」とした。

  • パナソニックHDの和仁古明CFO

    パナソニックHD 取締役/執行役員の和仁古明CFO(提供:パナソニックHD)

また、今回の1Q決算で大きな影響を与えた生成AI関連事業の伸長については、今後も高成長が継続するとし、PIDおよびエナジーの関連売上高の拡大に期待をのぞかせる。一方で北米市場の停滞が懸念される車載電池については、電気自動車(EV)購入者に対する税控除制度「IRA 30D」の2025年9月廃止などが影響し、一時的に影響を受けるとしたものの、EV向け電池などの販売に対する税控除「IRA 45X」は2032年まで継続するなどの背景から、長期的には成長性を確保しているとの見通しだ。

このほか、合意していた戦略的資本経営に関する契約の解約によって、予定されていたプロジェクター事業の非連結化が中止となった影響で、コネクトの売上・利益が修正された。なおコネクトについては、現CEOの樋口泰行氏が2026年3月末をもって退任し、後任にケネス・ウィリアム・セイン氏が就くことが発表されている。この人選について和仁古氏は、コロナ禍の苦境においてアビオニクス領域の方針を転換し収益性の拡大に成功したセイン氏の手腕が評価されたとしている。