NTTドコモビジネス(旧 NTTコミュニケーションズ)とメドレーは7月24日、山形県が取り組む令和7年度「へき地診療所等におけるオンライン診療モデル事業」の支援を開始することを発表した。

大雨災害で大きな被害を受けた最上地域の戸沢村において、診療所や保険薬局と災害時の避難所に指定されている福祉施設などをオンラインでつなぎ、診療・服薬指導を行うモデル事業を実施する。

実証の背景

山形県においても人口減少と高齢化が進行しており、県内のどこに住んでいても質の高い医療を受けられる体制の整備が求められている。特に医師が不足するへき地診療所では、医師の確保や派遣の負担、患者の交通アクセスの負担や災害をはじめ有事の際の対応が大きな課題となっている。

こうした課題に対応するため、令和4年度から、へき地診療所に通院している患者が看護師などの支援を受けながら、病院にいる医師のオンライン診療を受けるモデル事業が開始された。

これまでの取り組みにより、医師の移動負担の軽減や、情報通信機器の操作に不慣れな高齢者でも看護師などのサポートを受けながらオンラインでスムーズに診察を受けられることが確認されているという。

山形県では令和6年7月の大雨災害を受けて、医療機関の被災や患者の通院困難といった状況下でのオンライン診療・服薬指導の有用性が注目されている。そこで令和7年度は災害時を想定したオンライン診療モデル事業を実施し、頻発する水災害に対する備えや平時・非常時を問わず機能する診療提供体制の構築を目指す。

戸沢村における実証概要

この事業では災害時に医師や薬剤師などの施設間往来が困難となる事態が発生した場合を想定し、福祉施設において、医師によるオンライン診療と薬剤師によるオンライン服薬指導を訓練形式で実施する。

患者は福祉施設内の受診スペースにおいて、戸沢村中央診療所に勤務する看護師の補助を受けながら、受診用タブレットPCを通じて診療所にいるかかりつけの医師から「クラウド診療支援システム CLINICS」を用いたオンライン診療を受ける。

処方薬については、処方箋を発行後に、保険薬局に勤務する職員の補助を受けながらオンライン服薬指導を受けて配送で処方薬を受け取る流れ。これにより、医療機関は遠隔地からの診察や服薬指導が可能となるため、災害時の患者の受診機会の確保や医師の移動負担の軽減が実現され、持続的な医療提供体制の確保につながると期待される。

  • 実証実験の概要図

    実証実験の概要図