スペースデータは7月14日、防災科学技術研究所(防災科研)との間で、防災実務と研究開発をつなぐ「防災デジタルツインプラットフォーム」の構築に向けた共同研究を開始したことを発表した。

  • 発表の概要

    スペースデータと防災科研が「防災デジタルツインプラットフォーム」構築へ共同研究(出所:スペースデータ)

国難災害への対策を見据え最新防災技術の構築に着手

今般開始された共同研究は、気候変動の影響による自然災害の激甚化・広域化や、南海トラフ地震の発生リスクの高まりなど、日本が直面しうる“国難災害”への対策を見据えた取り組みとのこと。従来の「起きてから対応する」リアクティブな防災から、「起こる前に予測し備える」プロアクティブな防災への転換を目指し、デジタルツイン技術の活用による抜本的な防災耐先の革新を進めていくとする。

スペースデータによると、今回の研究では、防災現場での意思決定支援やシナリオ分析を目的とした、災害統合シミュレーションを中核とする「防災デジタルツインプラットフォーム」の実現に向けて検討を進めるという。同プラットフォームの構築に向けては、最新のデジタルツインおよびICT技術の動向を踏まえ、防災実務と研究開発をつなぐ技術的枠組みを検討するとしており、災害シミュレーションや観測データの活用により、効果的な可視化・分析を実現するためのプラットフォーム設計に取り組むとした。

また加えて、国難災害を念頭として、防災現場で活用可能なデジタルツインの要素技術や社会実装体制、自治体などとの連携の在り方も検討し、災害対応に資するデジタルツインの実現に向けた検討も行うとのこと。さらに、災害時の意思決定支援につながる活用体制の構築も視野に入れて取り組むとしている。

なお、今回の共同研究では両者がそれぞれの専門性を活かせるよう、役割を分担して推進するという。防災科研は、対策や対応に資する情報プロダクツの研究に関する知見や、実務と連携したアクションリサーチの経験に基づき、主に研究全体の統括やニーズ把握、実務者との連携体制に関する検討などを担う。一方のスペースデータは、デジタルツインや地理空間シミュレーション、人工衛星・AI技術の知見を活かして、主に技術的検討や社会実装に向けた技術モデルの構築を担うとした。

今般開始された共同研究について、両者は、防災実務を担う主体と研究者との平時からのマッチングおよび連携体制の構築を目指して、平時および災害時に円滑にデジタルツインを活用できる環境を整備することで、防災対策・災害対応の抜本的な変革に資する取り組みを推進するという。そして今後は、公的機関や民間企業など関連機関との連携を視野に入れ、国全体の防災力向上に資する技術基盤の構築を目指すとのこと。その中でスペースデータは、最先端の宇宙・デジタル技術を活用し、持続可能な社会の実現に向けた課題解決型の共同研究を積極的に推進するとしている。