芝浦工業大学 工学部・田嶋稔樹教授(有機電気化学研究室)ら研究チームは、安全・安価なフッ化カリウム(KF)から無水フッ化水素(HF)を定量的に生成するオンデマンド合成法を開発した。
フッ化カリウムは、最も安全で安価なフッ素化剤の一つとして知られているが、ほとんどの有機溶媒に溶けにくいことが課題となっている。一方、無水フッ化水素は毒性、腐食性があり、室温で気体(沸点:19.5℃)であることから、特別な設備がない限りその取扱いは極めて困難だった。
今回開発した合成法は、特別な設備を必要とせず、安全なフッ化カリウムから無水フッ化水素を必要な時に必要な場所で生成することができるというもの。
さらに、生成した無水フッ化水素に対して種々のアミンを作用させることで、新規フッ素化剤として有望なAmine-3HF錯体のテーラーメイド合成を実現した。
今回の研究で得られた種々のAmine-3HF錯体は、新規フッ素化剤として医薬品、農薬、機能性材料、さらにはPET検査用分子プローブの合成などへの応用が想定されている。
研究成果は、国際学術誌Chemistry - A European Journalオンライン版に掲載されている。