ニュースペースの小ロットニーズに対応
OKIは7月7日、同社グループの電線事業会社であるOKI電線(OEC)が7月8日より、ロケットや人工衛星に搭載する機器向けに、研究開発・試作などで要求の多い1枚からのスポット開発・生産に対応した、ニュースペース向け「小ロット対応カスタム長尺FPC(フレキシブル基板)」の販売を開始すると発表した。
FPCは、絶縁性フィルムを材料に使った、薄く、軽く、柔らかく耐久性に優れた屈曲性のあるベースフィルム(放射線・高熱に強いポリイミドなど)と銅箔などの導電性金属を貼り合わせた基材に電気回路を形成したフレキシブルな基板。フィルムベースのため、自在に曲げることができ、機器内でのわずかな隙間や立体的な配置、繰り返して屈曲する可動部での配線などが可能という特徴がある。
IKAROSにも搭載された長尺技術を提供
OECでは、小型化や軽量化が求められる宇宙市場をターゲットに、同社群馬工場の独自生産技術により最長100mの長尺化したFPCの提供を行うことを決定したという。この技術は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」へ搭載されるなど宇宙機器での多くの実績があるという。また、小ロットのカスタム開発・生産を可能にする「枚葉ライン」と大量生産対応の「ロールtoロールライン」の2つの独自の生産体制を構築することで、ロット1枚から、さまざまな形状や大きさ、搭載場所により異なる要求スペックにも柔軟に対応することを可能とした。
これらの技術を宇宙産業に提供することで、宇宙機器開発の開発段階から試作、量産まで幅広い要求に対応できるようになり、かつ宇宙機器の打ち上げコストに直結する機器の小型化・軽量化に貢献できるようになることから、OECでは、2026年度に5000万円の売り上げを目指すとしている。
なお、OKIは中期経営計画2025において、航空宇宙市場をEMS事業の注力分野としており、設計生産だけでなく、機器設計段階でのシミュレーションなど、宇宙品質のモノづくり力を活かし、グローバルな航空宇宙市場に向けた技術開発と販売拡大を進めていくとしている。