HTC Corporation(以下、HTC)とNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は6月27日、欧米を中心に人気を拡大しているLBE(Location Based Entertainment)を活用した新たなエンターテイメントを共同で提供するための基本合意書を締結したことを発表した。
提携の背景
全国各地でプロスポーツの試合やコンサートに使われる大型アリーナの建設が進んでいる。これに伴って、施設の維持管理にかかる費用負担の軽減や、集客による地域への経済効果の最大化に向けて、試合やイベントがない日における施設の有効活用が求められている。
LBEはXRゴーグルやXR空間内で位置情報を把握するためのマーカーなど、簡単な設備を導入するだけで多彩なプログラムを提供できる。そのため、施設の大規模な改修工事を行うことなく、さまざまなイベントを開催可能。これにより、施設のより持続的な運営が期待できる。
取り組みの概要
今回、LBEデバイスで世界トップシェアを持つHTCとスタジアムやビルなどのスマートシティ領域で各種ICTソリューションを提供しているNTT Comが基本合意書を締結。LBEを活用した新たなエンターテインメント事業の展開を目指す。
NTT Comはこれまでに蓄積したICT環境の構築ノウハウを生かして、ニーズに合わせたネットワークソリューションなどを提供する。さらには、主催者としてコンテンツの企画・監修やプロモーションなど、全国の施設運営事業者や地方自治体と連携し、イベントの拡大を推進する。
また、HTCからは最先端(軽量、5Kの解像度、自動IPD調整)のXRゴーグルや、3Dコンテンツを提供することにより、これまでにない新しいエンターテインメント体験を提供する。
コンテンツの開発やイベント開催場所の選定が完了次第、LBEを活用したイベントの開催を予定しているとのことだ。
今後の展望
NTT Comは2025年5月にエンタメ推進プロジェクトを発足し、国内外のアニメやゲームなどのIPを保有する事業者や集客施設の運営事業者、地方自治体などとの連携を図り、新規コンテンツの開発やイベント運営のパッケージ化を含めた事業展開を進める。
LBE市場は今後もグローバルでの市場成長が予測されており、NTT Comはコンテンツの拡充やイベントの拡大により、2030年までに500億円規模の事業を目指す。将来的にはIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)や触覚伝送なども活用し、複数施設を接続したイマーシブなイベントの展開、驚きと感動のエンターテイメント体験の創出に取り組むという。